請求書を受け取り、振込にて支払をする際の振込手数料はどちらか負担すべき?素朴な疑問ですが、それに伴いトラブルになることもあります。
振込手数料負担に関する考え方と、トラブルの避け方についてご紹介します。
請求書の振込手数料の考えの基本
まずは請求書を振り込む際の振込手数料の基本的な考え方について見ていきましょう。
振込手数料負担の正式な法的決まりはなし
振込手数料の負担に関して、法律上には特段どうすべきという記述は見受けられません。そのこともあり、どちらかが負担すべきかという点で見解が分かれ、トラブルになる可能性があるのです。
民法における振込手数料負担の考え方
では、一般的な法律である民法における振込手数料の記述を見ていきましょう。
弁済の費用、つまり請求された費用については、債務者=支払い側の負担とすると記載されています。ただし、債権者=請求側の都合で金額が増額などした場合の増加額は、債権者負担となります。
民法上では、特段の個別な契約などがない場合においては、振込側が負担することが通例とされています。
振込手数料はビジネスルールが基礎
また振込手数料についてもう1つ知っておきたいのは、ビジネスルールが基礎となるという考えがある点です。
請求書に記載されたお金は、基本的には請求書を発行した側が負担するという考えです。これは、サービスを受ける側への代金回収は直接行うのが基本とされている商取引原則の考えに基づいています。
また、振込を行うために伝票を作成したり、銀行に手配する手間を考えて、請求書を発行した側が負担するという考えもあります。
振込手数料はトラブルの元にも?
振込手数料の負担に関しては、正式な決まりがなかったり、ビジネスルールによる考えなどもあるため、ちょっとしたことですがトラブルのもとになってしまうことがあります。
そこで、トラブルを事前に回避するために、以下を心得ておきましょう。
どちらが負担かの明記は必須
トラブルを回避するのに最も有効なのは、どちらかが負担するというのを契約書などに明記することです。
会社の方針なども確かにありますが、当然のことながら、事前にお客様と協議して決めた内容を明記するようにしてください。
中には取引先の考えに任せるという会社もありますが、担当が変わることで処理が変わる可能性もあるため、可能であれば明記するのが有効でしょう。
振込手数料を振込側に依頼する場合
もし振込手数料を振込側にお願いする際は、事前に先方と打ち合わせを行った上で、依頼しておくことが大切です。
特に立替金などの場合、振込手数料を差し引かれることでマイナスとなることもあります。その場合、その旨を説明し、かつ請求書にも記載しておくことが大切です。見落としなどを防ぐためには、請求書の送付表にも追記するといいでしょう。
振込手数料に対する考えを変える場合
もう1点注意したいのが、自社で振込手数料を負担していたにも関わらず、逆に負担をお願いする方針に変える場合です。
急遽請求書などに記載して送付するだけだと、料金の回収ができない場合も生じます。また、相手方にも非常に失礼にあたるため、事前に電話やメールなどで案内を行い周知することが大切です。
振込手数料の帳簿処理
次に振込手数料を帳簿上どのように処理を行うのかについてご紹介します。
振込手数料に該当する勘定科目は?
振込手数料を帳簿につける場合、「支払手数料」と「雑費」の2つの方法が取られます。頻度が少ない場合は後者でも問題ありませんが「支払手数料」を使用するのが基本です。
振込手数料を負担してもらう場合
まずは、振込側に負担してもらう場合ですが、この場合は通常の仕訳処理となり、特段支払手数料という科目を使用することはありません。
(例)当座に90,000円振り込まれた場合
(借方)買掛金 90,000 (貸方)当座預金 90,000
振込手数料を負担する場合
次に、自社が請求書の金額を振り込む場合における仕訳処理を見ていきましょう。
(例)振込手数料を負担し、90,000円を現金振込にて支払う場合
(借方)買掛金 90,000 (貸方)現金 90,540
支払手数料 540
このように支払手数料が発生する点が異なります。
請求書における振込手数料の負担に関しては、基本的に法的取り決めがないことから、個別に相談などを行った上で処理を行いましょう。また帳簿上の処理も負担側がどちらになるかによって変わるため、注意してください。