個人事業主にとっては、接待にかかった費用などを証明するためには、領収書の保存が必須になります。もちろん、確定申告にて毎回提出が求められるわけではないのですが、必ずきちんと保管しておくことが必要です。
では、領収書などの証憑書類は、どのくらいの期間保存しておけば良いのでしょうか。今回は、領収書の保存期間をテーマにお話していきたいと思います。
領収書の保存期間5年と7年の違いは?
領収書などの証憑書類の保存期間は、5年もしくは7年と定められています。では。なぜ5年と7年という違いがあるのでしょう。
法人と個人事業
実は、法人の場合と個人事業においての領収書保存期間には違いがあるのです。法人の場合は、法人税法により、領収書の保存は7年間となっています。2004年以前は、法人でも中小法人であれば領収書の保存期間は5年、大法人は7年となっていましたが、現在では、法人の場合は全て7年の保存が必須になっているのです。
一方、個人事業の場合は、所得税法により保存期間が決められています。ただ、その期間は5年もしくは7年となっているため、どちらに当てはまるのか見ていきましょう。
白色申告と青色申告での違い
個人事業主の方の場合は、確定申告を白色にて行っているか、青色にて行っているかによって、保存年数に差が生じます。
・白色申告者…5年
・青色申告者…7年(例外あり)
青色申告者でも、所得が300万円以下であれば、領収書の保存期間が5年で良いとされる例外が存在します。ただ、1つ注意しておきたいのが、白色申告者の場合でも、領収書以外の帳簿類の中には7年間の保存が必須となっているものもあります。そのため、間違いがないよう、すべての書類を7年保存するようにしておいた方が安全といえるでしょう。
書類別の保存期間
・7年間の保存
帳簿関係…仕訳帳、売掛、買掛帳など
決算書類…賃借対照表、損益通算書など
証憑書類…領収書、請求書など
・5年間の保存
証憑書類…納品書、契約書、見積書など
このように、決算関係の書類か帳簿関係の書類かによっても、保存期間が異なりますので、誤った認識で、破棄しないように注意しておきましょう。
領収書の保存方法について
領収書の保存方法については、原則紙での保存が義務となっていました。しかし、それも2016年1月1日からは、電子帳簿保存法とうものが適用されているため、電子データでの保存が可能となっているのです。
電子帳簿保存法って?
電子帳簿保存法というのは、領収書だけでなく、国税関係の帳簿書類を電子データ(画像データ)で保存しても良いという法律となっています。
これまで、電子データで保存するためにはさまざまな条件があったため、中々利用者が増えずにいました。しかし、今回の改正により、電子データ保存においての利用者の負担はかなり軽減されたのです。
改正された内容
・3万円以上の領収書でも電子保存が可能
これまでは、3万円以下の領収書のみ電子保存が認められてきました。しかし、今回の改正では、その金額の制限が廃止されたのです。
2017年からはさらに楽になる!
今回の改正でも、かなり楽になった電子データでの領収書保存ですが、2017年には、より利用者の負担が減り、保存が楽になることになりそうなのです。
その理由としては。スキャナーの利用が必要なくなり、スマホ・デジカメで撮影したものが電子データとして認められるようになるというものです。ただし、課題も多いのが気がかりなところでもあります。紙での保存が必要なくなることで、水増し請求が多発してしまうのではないかと、すでに心配の声もあがっています。
利用者にとっては、保管するための場所を確保する必要がなくなるため、大変便利にはなりますが、まだまだ課題は多いといえるでしょう。