間違いに気づいたらすぐ動け!確定申告における修正申告のいろは

 

確定申告がやっと終わりやれやと胸をなで下ろしているときに、申告間違いに気づきました。あなたならどうしますか?

バレないだろうからいいやと放置する方も中にはおられるかもしれません。しかし「間違いに気付いたらすぐに動く」これが鉄則です。

確定申告における修正申告のいろはについてご紹介します。

確定申告の修正申告のパターンと対処法

確定申告で間違いに気付くタイミングは人それぞれ違います。また確定申告には期限が定められている為、気づいた時期によって行うべき対処法も異なります。

3つのパターンごとに対処法をご説明しましょう。

修正申告は確定申告期限後に発生

1つ目は、確定申告の期限が過ぎた後に気付いた場合です。この時に行う修正を「修正申告」といいます。

また申告誤りには税額を少なく申告してしまったケースと、税額を多く申告してしまったケースの2つが存在します。前者が「修正申告」です。後者は「更正の請求」になります。

修正申告は間違いに気づいた時点で出来るだけ速やかに行う必要があります。後程のご紹介となりますが、場合によっては様々なペナルティが生じます。

税金を納め過ぎている場合の「更正の請求」にはペナルティは発生せず、納め過ぎているという証拠が立証できないと、税金の返還が認められないケースもあります。

確定申告期限前の修正は?

2つ目は、確定申告の期限前に気付いた場合です。確定申告をすでに税務署に提出済みの場合でも期限前に訂正をすればペナルティはありません。

提出前の場合は、手元にある書類を訂正すればなんの問題もありません。一方、既に税務所に提出してしまっている場合は、「訂正申告」を行います。

「訂正申告」は通常の確定申告書の作成とほぼ変わりません。

紙で税務署に提出した場合は、正しい確定申告書を一から作ります。そして当初の確定申告書と異なる点は次の2点です。

1.確定申告書の1枚目に「訂正申告」と朱書きを行う
2.余白に訂正前の「申告年月日」と「申告税額」を朱書きする

税務署に再度提出する際に、訂正を証明できる書類を添付することも忘れてはいけません。

e-taxで電子申請している方は、オンラインで既に修正しているデータを呼び出し、訂正した後再送信すれば訂正が可能です。

確定申告の期限前であれば、基本的に訂正申告は何度でも可能です。ただしあまり何度も訂正を行うのはイメージが良くないので、確認をしっかり行ってから訂正してください。

修正申告と確定申告忘れとの違い

3つ目は、そもそも確定申告をし忘れており、期限後に気付いた場合です。この場合は確定申告自体を行っていない為、「期限後申告」という扱いになります。

「期限後申告」の方法は、通常の確定申告と同様です。しかし遅延すればするほど延滞税をはじめとしたペナルティが加算される為、出来るだけ早く申告を行ってください。

税金徴収には原則5年、悪質な場合(所得隠しなど故意であるものなど)は7年という時効がありますが、事業者として知識として知っておくだけに留めましょう。

確定申告忘れに気付いた際は、正直にそして早急に「期限後申告」を行いましょう。

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確定申告の修正申告に発生するペナルティ

では確定申告における修正申告の際に発生するペナルティについてご紹介します。

税務調査後の修正申告には過少申告加算税

まず1つ目は「過少申告加算税」です。この税額は、本来納めるべき税額よりも過少に申告をしたことに対して加算される税金を意味します

しかしすべての修正申告に、この過少申告加算税が課されるのかというとそうではありません。基本的に自主的な修正申告には課されません。税務調査で明らかになったり、税務署からの指摘により発覚した場合に課される追徴税です。

過少申告加算税の税率には2パターンあります。

1.追加で納める税額の10%
2.更に、当初の税額もしくは50万円のいずれか多い額を超えた場合、超えた額に対しては15%

2つ目のパターンに当てはまらない方は、追加税額の10%だけを支払います。また当てはまる方は、当てはまる額に対しては15%、残りの額に対しては10%の税率をかけた税額を支払います。

(例)当初税額40万円、修正申告後に追加で納めるべき税額90万円

1.申告税額40万円と50万円を比較  40万円<50万円

2.追加で納めるべき税額90万-50万円 =40万円

3.(50万円×10%=5万円)+(40万円×15%=6万円) =11万円

悪質と判断された場合に起こるペナルティ

税務署などの指摘により行う修正申告に関しては、上記の過少申告加算税が課されます。

しかし特に計画的及び悪質なケースに関しては、過少申告加算税に変わって「重加算税」というさらに重いペナルティが課されます。悪質なケースとは、所得を隠すために領収書などに細工をしていたり、帳簿の改ざんなどが認められる場合です。

この場合は、増えた税額に対して35%の重加算税がかかります。また過去5年以内に、重加算税又は無申告加算税(更正・決定予知によるものに限る。)を課された前科があると、さらに10%税率が加算されます。

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確定申告における修正申告は即日納付が基本

次に確定申告において修正申告をした場合の税金の納期限についてご紹介します。

修正申告は期限後に発生するものであるため、既に納めているべき税額です。その為、修正申告を行った日が納期限となります。

修正申告における延滞税の詳細

前述のとおり、修正申告は確定申告後に行う為、本来の法定法期限である3月15日を過ぎています。

その為、以下の延滞税が発生します。

・計算期間→修正申告を行った日から税金を完納する日まで
・税率→年2.8% ※修正申告日の翌日から2ヶ月以内
・税率→年9.1% ※修正申告日の翌日から2ヶ月を超えた場合

つまり以下の公式で求められます。

1.(追加で納める税額)×2.8%+日数(修正申告日の翌日から2ヶ月以内)÷365日
2.(追加で納める税額)×9.1%+日数(修正申告日の翌日から2ヶ月を超えた日)÷365日

上記の1.+2.の合計額が延滞税額です。

※追加で納める税額は10,000未満は切り捨て
※1.2.で求められた延滞税は1円未満切り捨て
※1.+2.の合計額で求められた延滞税は100円未満切り捨て

ただし延滞税率は年によって変動しますので、国税庁のホームページで確認が必要です。上記税率は平成28年度の税率です。

延滞税計算期間の特例

しかし、修正申告であっても延滞税が加算されない計算期間の特例が存在します。

それが、当初の確定申告提出日から修正申告提出日までの間です。本来の納付期限を1年以上経過した後に修正申告を行ったとしても、修正申告の提出を行うまでの期間は免除してもらえるのです。

ただし、この特例も悪質だと判断され重加算税が課された場合は適用されません。

確定申告の修正申告方法

では最後に、確定申告における修正申告の方法についてご紹介していきます。

修正申告は持参及び郵送

修正申告を行う際は、修正申告書を作成します。修正申告書は「申告書B第一表」と「第五表(修正申告書・別表)」を合わせて1セットとなります。「申告書B第一表」は修正後の申告額を記載する様式であり、「第五表(修正申告書・別表)」は当初の申告額を記載する様式です。

様式は、国税庁のホームページからダウンロードして作成することもできます。また税務署に出向いて様式をもらい作成することも可能です。

作成後は直接、確定申告を行った所轄の税務署に持参するか郵送をしてください。

確定申告の修正申告もe-taxで可能

確定申告をe-taxで行った方であれば、修正申告も同様にe-taxを利用して行うことが出来ます。

更正の請求書・修正申告書作成開始」というページから、既に申告済みのデータを呼び出し、修正箇所を入力し直すことで修正が可能です。また増えた税額もPay-easy(ペイジー)などを利用して電子納税が可能です。

また延滞税がかかるのではと不安な方は、延滞税を計算するページも用意されています。修正申告を行う日と納付する日を記載すると自動で計算してもらえるので便利です。

確定申告における修正申告は、自主的に行うことで過少申告加算税も延滞税も免除となります。その為、間違えてしまったと気づいたときは出来るだけ早く修正申告を行いましょう。また確定申告後も万が一のことを考えて、落ち着いて再度確認をしておくことをお勧めします。