国税の納付時期は年2回!納付時期厳守が必須

 

個人事業者は会社などへの勤め人と違い、自ら国税を支払う必要があります。しかし毎年払うものであっても、後回しにしていると納付し忘れてしまう方もいるのです。

そこで今回は個人事業者が支払うべき2種類の税金の納付期限と、支払いが不要な特例、さらに万が一納付遅延した場合に受けるペナルティについてご紹介します。

個人事業者が支払う国税の納付期限

まず個人事業者が支払う国税の種類とその納付期限について見ていきましょう。まず1つ目は確定申告を行った後に納める所得税です。そして2つ目は自ら事業をしている人ならではの消費税です。

所得税の納付期限

所得税は、当年1月1日〜12月31日までの所得に応じて課される税金です。これを確定させるのが、皆さんが行っている確定申告です。

そして所得税の納付期限は、その年の確定申告の納付期限日です。基本的に確定申告は例年3月15日ですがその日が土日祝に当たる場合は営業日(月〜金)にずれこみます。

確定申告は2月中旬からスタートしますので、期限前に申告を終わらせた方は忘れがちです。確定申告は申告が終わったら完了ではなく、所得税の納付までが一連の申告であると認識しておきましょう。

消費税の納付期限

続いて消費税は、同年に消費者から受けとった金銭に含まれている税金部分を指します。個人事業者であるということは、私たちがお店で物やサービスを購入した際に支払う消費税を代わりに納める義務を負う訳です。

消費税の申告及び納付期限は毎年3月31日です。所得税を支払う確定申告よりも少し後になります。

ちなみに納めるべき消費税は以下の計算で求められます。

得た消費税(売上) −払った消費税(経費) = 納めるべき消費税

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個人事業者が支払う国税の特例

個人事業者だからと言ってもすべての人が上記でご紹介した所得税と消費税を支払わないといけないわけではありません。特例がありますので知っておきましょう。

所得税の支払いが不要なケース

まずは所得税の支払いが不要なケースからご紹介します。個人事業を専業として働いている方は、所得が38万円以下の場合、所得税が発生しません。ここでいう所得とは、実際に得た収入から経費を差し引いた額を指します。

上記で導き出された所得に一律38万円の所得控除が行われるため、所得が38万円以下だとマイナスとなり、所得税の課税対象から外れることになります。

(例)収入50万円、経費20万円の場合

収入50万円-経費20万円=所得30万円-所得控除38万円=-8万円

消費税の支払いが不要なケース

次に消費税の支払いが不要なケースについてご紹介します。消費税の場合は2段階で不要なケースが決まります。

まず1段階目は、開業して2年間です。この期間は基本的に納税が免除されます。よって開業後3年目から消費税の支払い義務が生じます。

2段階目課税売上高1,000万円という壁です。開業3年目以降であっても、2年前の基準期間(1月1日〜12月31日)までの課税売上高が1,000万円を超えない場合は支払いが不要となります。そしてこの場合、免税事業者となります。ただし、1年前の特例期間(1月1日〜6月30日)の課税売上高が1千万円を超えると3年目は消費税の支払いが必要となるのです。この段階で課税事業者に変わります。

(例)平成26年開業の場合
平成26年1/1〜12/31(平成28年度基準期間) 課税売上高1,000万円
平成27年1/1〜6/30(平成28年度特例期間) 課税売上高1,100万円
平成28年1/1〜12/31 (現在の課税期間)   課税売上高未確定

平成27年1/1〜6/30の課税売上が1千万円を超えている為、平成28年度は消費税を支払う必要が出てきます。

国税の納付遅延は要注意

では、国税の納付をし忘れたなど、納付期限に遅延を生じさせてしまった場合のペナルティについてご紹介します。国税は申告納税方式と言って、納める人自らが申告をするという制度が取られており、責任は事業者が取るのが基本とされています。

納付遅延による実質的ペナルティ

納付遅延に伴って納税義務者が受ける実質的なペナルティは、所得税も消費税も同様です。

納付遅延に対しては延滞税という税金が別途課せられます。本来支払うよりも多くのお金を納めないといけないことになります。

延滞税は以下の計算式で求められます。

納めるべき税金×延滞税率×遅延日数÷365日=延滞税

遅延が2ヶ月以内の場合、延滞税率は原則として年7.3%です。しかし平成26年より毎年定められる特例基準割合+1%と7.3%のいずれか低い額が延滞税率と変わっています。その為、国税庁のホームページを訪れ、延滞税試算を行うのが確実です。

納付遅延による間接的ペナルティ

納付遅延によって延滞税を払えば万時オーライではありません。それよりも間接的に受ける将来的なペナルティの方が、より影響力が大きいということを知っておいてください。

延滞税を支払うという事は、国が定めた法を破ったという事です。忘れていただけだとしても、納付遅延を起こしたという事実はマイナンバーなどで管理されている現在確実に刻まれます。

そして税務署などからは、いい加減な事業者だとか、悪意があるのではという印象を持たれてしまう可能性があります。それは事業者にとって大きなマイナス要因となりますので納付漏れにはくれぐれも気を付けましょう。

最後に個人事業者が納める国税の納付期限を改めて記載しておきます。

・所得税納付期限→確定申告の期限日
・消費税納付期限→3月31日

所得税も消費税も支払わなくてよいケースもありますが、支払い義務が生じた場合は速やかに納付をすることで優良事業者を目指しましょう。