発生主義と現金主義、2つの違いとは?帳簿付けの方法を解説

確定申告初心者にとっては、発生主義や現金主義という言葉自体聞き慣れないものだと思います。しかし、確定申告に必要な帳簿付けをする際、この2つの違いをしっかりおさえておくことはとても大切なことだといえます。

そこで今回は、発生主義と現金主義、2つの違いについてお話するとともに、帳簿付け方法についても解説していきたいと思います。

発生主義の仕組みと帳簿付け方法

それではまず、発生主義からみていきましょう。

発生主義の仕組み

事実確定時に帳簿記入する
例)
1.2月20日事業に必要な部品をクレジットカード払いで注文する
2.2月20日に帳簿記入する
3.クレジットカードの支払日である3月4日にも帳簿記入する

帳簿の付け方

2月20日 借方 雑費2500円 貸方 未払金2500円
3月4日 借方 未払金2500円 貸方 預金2500円

事実の確定した日、クレジットカードが口座から引き落とされた日の両方帳簿付けしておきます。

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現金主義の仕組みと帳簿付け方法

つづいて、現金主義について解説していきます。

現金主義の仕組み

・現金に動きがあった時のみ帳簿記入する
例)
1.1月15日消耗品をクレジットカード払いで注文(この時点では帳簿記入しない)
2.クレジットカードの支払日2月4日に帳簿記入する

帳簿の付け方

2月4日 借方 消耗品費3200円 貸方 預金3200円

現金主義はこの日のみの記入で完了です。

仕組みからみる違い

仕組みをみてみると、2つの違いが明確になりますね。

発生主義は、事実確定時と現金に動きがあった時の2回帳簿をつける必要がある一方、現金主義は現金に動きがあった際の1回のみ帳簿をつけることになるのです。回数や手間を考えると、現金主義の方が楽に感じるのではないでしょうか。

しかし、現金主義にての帳簿付けを希望する場合は、条件を満たしている必要があります。

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現金主義にて帳簿付けを行うための条件

1.前々年の所得合計額が300万円以下の小規模事業者に該当している
2.青色申告者
3.届出書を提出している

1.小規模事業者とは

すべての収入に対し、経費を差し引いた年間所得額が300万円以下である事業者のことをさします。注意しておきたいのが、専従者給与額は経費とせず計算しなければならないとういうことですね。

2.青色申告者

白色申告者の場合、現金主義にての帳簿付けは認められていないので注意しましょう。

3.届出書の提出

2Pある申請書を記入し、税務署へ届出書の提出が必要となります。提出する時期によって開始時期が異なるため、来年度から開始したい場合は前年度の確定申告時期終了までに提出しておきましょう。

現金主義を選択する前に注意すべきこと

仕組みや違い、帳簿付けの方法だけをみると、現金主義にしよう!と思ってしまうかもしれませんが、一つ注意点があります。それは、青色申告のメリットといえる「65万円の特別控除が受けられない」ということです。

現在青色申告を選択し、65万円の控除を受けている方にとって、控除があるかないかはとても重要なことですよね。現金主義を選ぶことは、控除を受ける資格がなくなってしまうことになります。ただ、10万円の控除であれば受けることができるので、収入と経費のバランスを見て決める必要があるといえるでしょう。

いかがでしたでしょうか。確定申告は、日々の帳簿記入に領収書などの保管、申告書の提出と、事業主にとって大変な作業となります。まずは、こういった会計処理方法を学んでいくこともとても大切ですね。

初めは難しく感じがちな確定申告ですが、慣れてくれば毎年同じ作業を行うことになるため、感じていた負担も次第に軽減されてくると思います。帳簿付けの方法や領収書の管理など、基本からしっかりおさえ、確定申告をマスターしていきましょう。