個人事業者必見!いくらから確定申告は必要かご存知ですか?

確定申告というと、会社勤めをしているときはあまり意識したことがない方には“非常に面倒で大変なもの”というイメージが強いことでしょう。しかし税理士さんに依頼するとなるとその費用が負担となるものです。

そこで今回は「確定申告はいくらから必要なのか?」という点にスポットをあててご説明します。

確定申告が必要な人は?

確定申告をする必要がある方は、大きく分けて以下の3パターンに分かれます。

1.個人事業者

給与所得者ではないことから、自らが確定申告を行い所得税、消費税、固定資産税等の納付を行う必要があります。

2.複数所得がある方

企業に勤めている会社員は基本的に雇われている1社から給与をもらいます。しかしアルバイトと掛け持ちをしていたり、副業をしている方などは2か所以上から給与を受けることになります。

「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している本業の勤め先の所得は年末調整を行えたとしても、所得税の計算はすべての収入を合算して計算しなくてはならないからです。

また不動産収入、株の配当金などの収入が20万円以上ある場合も確定申告が必要です。

3. 2,000万円以上の年間所得がある方

1社からの給与所得が2,000万円を超える場合も確定申告が必要です。これは高額所得者として扱われ、年末調整ではなく確定申告の義務が生じる為です。

確定申告が必要な所得の計算法

上記でご紹介した3パターンに当てはまる場合は確定申告を行う必要があります。ただしパターン1及び2であっても、所得が一定の数字に満たない場合は確定申告が不要となります。

そこで、まずは所得の計算方法をご説明します。

所得とは、収入(入ってきたお金)から必要経費(出ていったお金)を引いたものです。実際に所得税の対象になる「課税所得」はここからさらに、各種控除を差し引いた額です。

(例)収入300万円、必要経費160万円の場合は以下の計算となります。

300万円(収入)-160万円(必要経費)=140万円(所得)
140万円(所得)-38万円(基礎控除)=102万円(課税所得)

※基礎控除とは年末調整及び確定申告時にすべての人が受けられる所得税及び住民税の軽減制度です。

この公式を見ると非常にシンプルですが、1月1日〜12月31日までのお金の出入りをすべて管理しておかないと、計算ができません。

そこで収支管理を日々行っておくことが必要です。帳簿つけを行ってもいいですし、確定申告の準備段階まで行ってくれるオンライン会計ソフトなどを利用するのも便利な方法でしょう。

また領収書は法人税法において「帳簿書類」として定められており、7年間は保存が義務付けられています。

個人事業者必見!いくらから確定申告は必要かご存知ですか?

個人事業者の確定申告は38万円以上から

個人事業者の場合、「課税所得」が38万円以上の場合に確定申告の必要が生じます。

(例1)収入60万円、必要経費30万円の場合は以下の計算となり、確定申告は不要です。

60万円(収入)-30万円(必要経費)=30万円(所得)
30万円(所得)-38万円(基礎控除)=-8万円(課税所得)

(例2)収入60万円、必要経費20万円の場合は以下の計算となり、確定申告が必要です。

60万円(収入)-20万円(必要経費)=40万円(所得)
40万円(所得)-38万円(基礎控除)=2万円(課税所得)

課税所得がマイナスになったとしても、税金の還付は行われません。

副業の確定申告は20万円以上から

副業をしている場合は、給与所得以外の「課税所得」が20万円以上の場合に確定申告の必要が生じます。

(例1)収入30万円、必要経費17万円の場合は以下の計算となり、確定申告は不要です。

30万円(収入)-17万円(必要経費)=13万円(課税所得)

(例2)収入30万円、必要経費8万円の場合は以下の計算となり、確定申告が必要です。

30万円(収入)-8万円(必要経費)=22万円(所得)

確定申告をしなかった場合のペナルティ

確定申告をするべき義務があるにも関わらず、故意に行わなかった場合は延滞税や無申告加算税といったペナルティが課されることがあります。この場合、払うべき本来の税額を払った上で追徴課税が課されます。

例えば無申告加算税は、納めるべき税額が50万円までは15%、50万円以上の場合は20%分が上乗せして課税されます。

さらに悪徳な「ほ税犯」と判断されると、5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金かその双方が課せられるので注意が必要です。

ご自身が確定申告を行わなくてはいけないかどうかを判断する為にも、まずは収支管理を怠らずに行いましょう。

また確定申告を行わなくてもよいとされる課税所得であっても、敢えて行うのも1つの選択肢として有効です。税務署にあまり儲かってはいないけれど納税の意思があることを提示ができるとともに、ご自身の事業の収支を把握し事業計画に生かすことが出来る為です。