確定申告の期間は1カ月程度あるからと安心しているとうっかり申告期限を逃してしまった。
早くから確定申告の書類は作っていたのに、提出したつもりになっていた。
このように確定申告の時期を過ぎてしまった場合、どうしたらいいのでしょうか?また遅延によるペナルティの基準などについても詳しくご説明します。
期限後申告とは?
万が一、確定申告の時期を過ぎてしまった際に行うべき「期限後申告」についてご紹介します。
期限後申告の仕組み
確定申告をし忘れたり、何らかの理由で遅延してしまった場合の救済措置として設けられているのが「期限後申告」です。
申告方法は、通常の確定申告と同じです。申告書の様式にも変わりはありませんが、申告方法に注意が必要です。
通常、確定申告には3つの方法があります。1つ目は税務署に直接持参する方法、2つ目は税務署に郵送する方法、3つ目は電子申告「e-Tax」を利用して行う方法です。
いずれの方法も行えますが、加算税発生の可能性もあることから、税務署に直接持参する方法を取ることをおすすめします。
期限後申告には期限がなくいつでも行えます。ペナルティを軽減する意味でも気づき次第、早急に行いましょう。
無申告加算税が免除される場合
期限後申告は本来行うべき確定申告の期限を遅延していることからペナルティが課されます。
その1つが無申告加算税です。申告すべきものを申告していなかったということに対する罰則です。ただし故意に申告をしていないわけではない方もいるため、下記をすべて満たす方には無申告加算税は課されません。
・期限後申告が“法定納期限から1月以内”に、かつ“自主的に”行われていること
・“期限後申告を行った当日に納付”を行うこと
・期限後申告の提出の前日から起算して5年以内に、無申告加算税や重加算税を課されていないこと
・上記の期間に期限後申告を行い、無申告加算税の不適用を受けていないこと
簡単にまとめると、常習性がなく、期限後申告を自らが申し出て法定納期限から1月以内に行い、かつ当日に税金を支払うのであれば、無申告加算税が課されないということです。
期限後申告は青色申告免除額が減少
期限後申告のペナルティはもう1つあります。それは青色申告特別控除の減額です。
青色申告では所得金額より65万円が特別控除されます。しかし、期限後申告の場合10万円の特別控除に減額されてしまいます。つまり55万円が通常の確定申告に加えて課税対象額となることから、納めるべき税額が増加します。
よって期限後申告を青色申告で行う方は、申告書の青色申告特別控除は65万ではなく10万円で行うようにしてください。65万円で申告してしまうと、税務署から期限後申告の修正を指摘され印象が悪くなるため注意が必要です。
期限後申告も行わなかった場合
期限後申告を行わなかった場合及び期限後申告を税務署から指摘されて行った場合は「無申告加算税」を支払わなくてはいけません。
無申告加算税は本来納付すべき税額に加えて課される税金です。納付すべき税額が50万円までは、税額に対して15%、50万円を超えている部分は20%です。ただし自主的に期限後申告を行う場合は、一律5%のみが課税されます。
(例)納付すべき税額が40万円、税務署より指摘され期限後申告を行った場合
40万円×15%=6万円(無申告加算税)
※46万円が納付すべき税額
(例)納付すべき税額が60万円、税務署より指摘され期限後申告を行った場合
50万円×15%+10万円×20%=9万5千円(無申告加算税)
※69万5千円が納付すべき税額
(例)納付すべき税額が60万円、自主的に期限後申告を行った場合
60万円×5%=3万円(無申告加算税)
※63万円が納付すべき税額
期限後申告は、申告が1月以上期限を過ぎたとしても、自己申告すれば無申告加算税も少額に抑えられるのです。
税金の納付遅延は延滞税が発生
確定申告は通常3/15までに行うと同時に税金納付を済ませないといけません。しかし期限後申告の場合、既に税金の納付期限を過ぎているため延滞税が発生します。
納期限の翌日から2カ月を経過する日までは、年利率7.3%もしくは「特例基準割合+1%」のうち低い割合が適用されます。2カ月を経過すると年利率14.6%もしくは「特例基準割合+7.3%」のうち低い割合が適用されます。
特例基準割合とは、年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合のことです。また延滞税は国税庁のホームページで期限後申告日、納付日、税額を入力すると自動で計算してくれます。延滞税は本来納めるべき税額に対してのみであり、無申告加算税を加算する必要はありません。
期限後申告は1回までに!
期限後申告があるから安心というのは大きな間違いです。繰り返すことで確実に税務署からの印象は悪くなります。
また青色申告を行っている方は、2年連続で期限後申告を行うと常習性があると判断され、青色申告取り消しの通知が届きます。取り消されてしまうと、青色申告特別控除65万円は次年度より適用されません。また一度取り消されてしまうと、自ら税務署長に青色申告の申請を出し承認を受ける必要があります。取り消し後、最低3年は復活ができないのが通例です。
期限後申告の例外
最後に確定申告のうち、還付申告を行う場合の期限後申告についてご紹介します。
還付申告書は、本来の申請対象年の翌年から5年間行うことができます。つまり平成28年度分は、平成29年1月1日から5年間なので平成33年12月31日までは還付申告が可能です。
またペナルティなどもありませんので、医療費控除などの還付申請がある場合は行っておきましょう。
確定申告は期限内に余裕をもって行うことがベストですが、万が一期限を過ぎた場合もできるだけ早く行うことでペナルティも少なくて済みます。計画的に準備を行い、期限内に申告するようにしましょう。