赤字は青色確定申告で繰り越せる!個人事業主の節税マニュアル

 

開業し、いざ念願の事業を始めても、そう簡単に黒字続きとなることは稀で、赤字になってしまう年もあるでしょう。しかしそれは、個人事業主なら誰しもが通る道ともいえますし、事業開始にかかる初期投資の額が膨らんでしまった、なんてよくある事でしょう。

では、赤字となってしまった場合はどうすれば良いの?という声にお応えすべく、今回は、個人事業主の赤字をテーマにお話していきたいと思います。

赤字になってもOK?繰り越し控除とは

今年度は100万円の赤字になってしまった…。と落ち込んでいる事業者の方、その赤字は、確定申告で青色申告をすれば、翌年へ繰り越すしが可能なのです。

繰り越し控除の内容

青色申告のメリットといえる赤字の繰り越し控除ですが、繰り越せると聞いても、ピンとこない方も多いと思います。そこで、個人事業主の方の3年間の所得具体例をみていきましょう。

・Sさんの場合(青色申告者)
初年度…300万円の損失(赤字)
2015年度…150万円の利益
2016年度…400万円の利益

2014年度の確定申告での所得税

Sさんが事業を開始した初年度の利益は0円となりました。代わりに、300万円の損失(赤字)となってしまっています。この場合、所得税はかからず、0円となります。

2015年度の確定申告での所得税

Sさんの事業は、2年目になり少しずつ利益が生じてきたようです。では今年度の100万円の利益から所得税が引かれるのかというと、青色申告者であるSさんの場合は所得税0円となります。

今年度の150万円の利益から、初年度の赤字額300万円を差し引くと、まだ150万円の損失が相殺できていない状態となっています。そのため、2015年度の所得税も0円です。

2016年度の確定申告での所得税

2016年度は、400万円の利益となりました。ここでも、前年度と同様、損失額の残額150万円を相殺することができます。

つまり、利益400万円-150万円=250万円となり、400万円の利益を得たにも関わらず、課税対象となったのは250万円だけとなったのです。

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白色申告の場合はどうなるの?

では、白色申告者の場合はどうなるでしょう。赤字でも黒字でも関係なく所得税を支払わなければならないのでしょうか。

白色申告者と青色申告者の違い

白色申告者の場合でも、赤字の場合、または利益が0円の場合は、課税対象にはなりません。ただ、青色申告者とは異なり、その赤字額を繰り越すことは出来ないのです。

・青色申告者の場合…赤字額を翌年の黒字額から相殺できる
・白色申告者の場合…赤字となった年度は、課税はされないものの、翌年の黒字額から相殺はできない

赤字を繰り越すことが出来れば、利益にかかる税金を抑えることが出来ます。青色申告をおすすめするのは、この差にあるといえますね

青色申告なら繰り戻しもできる!

青色申告者であれば、赤字額を翌年の利益から控除することができるとお話してきましたが、実は繰り戻しも可能となっているのです。

繰り戻しとは、その年の所得に損失、つまり赤字が生じてしまった場合に、前年度の所得税より還付を受けられるというものです。ただ、前年度は白色申告で、今年度から青色申告に変更した場合には、この繰り戻しは適用されません。前年度も青色にて申告していたことが前提となるため、注意しておいておくださいね。

白色申告と青色申告は、それぞれにメリットやデメリットが存在しますが、事業が軌道にのり、ある程度の利益を算出できるようになれば、青色申告を選ぶようにすることをおすすめします。確定申告は、節税に大きく関係しているため、ぜひきちんと見直すことから始めてみて下さいね。