会社勤めをしている時は当たり前のように社会保険に加入していた方がほとんどでしょう。そのため、会社勤めをしていない個人事業主などは、健康保険に選択肢があるということさえ知らないで過ごしてきたかと思います。
そこで今日は、個人事業主の方が選ぶことが出来る健康保険の種類とそのポイントについてお話していきましょう。
個人事業主は健康保険の選択が可?
個人事業主が健康保険へ加入する際には、4つの選択肢が存在します。ご自身にあった健康保険を選択する参考にしてください。
任意継続が可能って知ってますか?
1つ目は、会社員時代に加入していた健康保険をそのまま継続する方法です。
新たに手続きをしなくても継続申請をすることで、以前の健康保険が使用できるというのは大きなメリットでしょう。
ただし、万が一保険料の支払いが遅延すると即脱退を余儀なくされるという点があることも知っておきましょう。
最もポピュラーなのは国民健康保険
2つ目は最もポピュラーな選択肢である国民健康保険への加入です。ご自身が住んでいる市町村が管轄している健康保険に加入するのです。
国民健康保険の場合、確定申告をする際に白色申告か青色申告かによって負担額が変わってきます。青色申告を選択している方の方が、特別控除の65万円があることもあり、保険料が安くなります。
具体的な保険料は地方自治体によって異なりますが、前年度の収入に応じて算出されるという点は同様です。
扶養に入ることも選択肢の1つ
3つ目は健康保険における扶養家族に入る方法です。
扶養に入るには以下のようにいくつかの条件があり、誰もが入ることはできません。
・扶養に入る配偶者や両親の年収の2分の1未満の収入であること(年収130万円未満が目安)
・扶養に入る配偶者や両親と生計を同一にしていること
扶養家族として認めてもらえると、保険料の負担なく健康保険が使用できます。ただし、健康保険組合によって細かい条件が定められていることもあるため、加入を検討している場合は、事前に確認することが必要です。
特定の職業は組合加入もあり
4つ目は、健康保険組合に加入することです。これは一定の職業についている場合にのみ選択可能な方法です。
例えば、税理士や美容師、デザイナーなどがそれに当たります。その他にも独自の組合を設けている健康保険組合もあるため、その組合加入の健康保険を選択可能です。
この場合、保険料の計算方法や対象となる範囲も独自に定められているため、まずは情報収集しておくといいでしょう。
任意継続を選択する場合に知っておきたいポイント
次に、以前会社で加入していた健康保険を任意継続する場合に知っておきたい注意点をご紹介します。
1.任意継続には期間が設定されている
1つ目は任意継続した健康保険は、国民健康保険と異なり、永遠に加入した状態ではいられないことを知っておかないといけません。任意継続をした日から2年間という規定があります。それ以降は国民健康保険に加入するなどの手続きをとる必要があります。
また以前お勤めの会社を退職した翌日から起算して20日以内が継続可能期間です。それを過ぎると任意継続の申請資格がなくなるため、注意が必要です。
2.任意継続を辞めるのには制約が有り
2つ目は、任意継続した健康保険を脱退するのには制約があり、国民健康保険に加入するからそろそろ辞めようという訳にはいかないという点です。
辞めることが可能となるのは以下の3つの場合ですので知っておいてください。
・別の会社に再就職が決まった場合
・後期高齢者医療の認定を受けた場合→被保険者資格取得
・本人が死亡した場合
3.支払保険料は2倍と心得よ
3つ目は支払うべき保険料の金額です。
保険料は会社員時代に支払っていたもののおよそ倍額がかかります。これは、会社勤めをしている時は会社が折半してくれているため、全額を負担する必要がなかったためです。
ご自身が負担するであろう額は、健康保険組合が保有しているホームページに全額負担の場合の支払保険料の額が記載されているものもありますので、事前に確認しておくといいでしょう。
任意継続中の2年間、支払保険料は基本的に増減しません。ただし、年齢によって介護保険料が増減することがある点は心得ておきましょう。これは40〜60歳になると介護保険第2号被保険者に該当するため、基本的な保険料に加えて介護保険料がプラスされるためです。
国民健康保険を選択する場合に知っておきたいポイント
続いては国民健康保険への加入を選ぶ際に、経費処理や節税に関して知っておきたいポイントをご紹介します。
国民健康保険は経費処理が不可
個人事業主の方が国民健康保険において気になることの1つに、経費としての計上の可否があります。
結論から申し上げると経費計上をすることはできません。経費は会社の利益をあげるのに必要である出費である必要があります。そのため、加入者個人が支払う保険料は会社の事業とは無関係と考えられ、経費としての処理ができません。
国民健康保険は所得控除が適用可
国民健康保険は経費となりませんが、所得控除を受けることが出来るのは大きなメリットでしょう。
所得控除とは、所得税及び住民税を算出する際に支払った国民健康保険料を引いた所得で計算されることを言います。つまり税金の対象とならないのです。
そのため、経費にこそなりませんが支払い税金を減らすことができます。
個人事業主の方が健康保険に加入する際には、選択肢が4つあるということご理解いただけたでしょうか?それぞれの健康保険の特徴を知り、ご自身の状況にあったものを選びましょう。