黒字でも安心は禁物!資金繰りで決まる黒字倒産の恐怖を避けよう

倒産という言葉に付きまとうのは赤字という言葉ではないでしょうか?しかし、実際に倒産した会社の財務状況を分析したある調査結果によると、赤字で倒産しているのはわずか5割強です。

つまり、黒字でも倒産するということは現実に起こっていることなのです。利益を上げているのに倒産するということは、会社経営において知っておくべき大事なポイントです。

黒字だから安心と思っていると、いきなり倒産なんてことになる可能性もあります。そんなことにならない為にも、黒字倒産について知識を深めましょう。

横行している黒字倒産とは?

いまや横行している黒字倒産の具体的な状況について見ていきましょう。合わせて、赤字でも倒産しない会社についても触れていきます。

黒字倒産はどんな状態?

黒字倒産には2つの特徴があります。1つ目は「支出よりも収入が上回っている」ことです。これが黒字という状態です。2つ目は「利益が出ている」ことです。この2つがあれば経営は問題なしと考えがちですが、それにも関わらず倒産してしまうのが黒字倒産です。

では倒産してしまうのは何故かという部分を見ていきましょう。そこには「商取引が不可能になる」状況があります。そして、利益は出ていても事業を運営するための運転資金が不足してしまうこともあるのです。つまりは、手元に資金源であるキャッシュがない状態です。売り上げを上げ、売掛金などがあることで帳簿上は黒字ですが、手元に回収されるのに時差があるため、キャッシュが手元にないのです。

また在庫を抱え過ぎている場合も黒字倒産になりがちです。仕入れた商品代は売れてから支出として処理されるため、帳簿上は赤字になりません。しかし、実際は商品を倉庫に大量に抱えているにも関わらず、それを売るための宣伝費が捻出できず、黒字倒産となりがちです。

赤字でも倒産しない会社も多い?

また知っておいていただきたいのは、赤字続きであっても倒産しない会社が多いのも事実です。

不思議に感じますが、黒字倒産とは逆に手元に現金となる資産が多くあることが第一要素です。さらに、担保にすることができる資産をもっていることで融資が受けやすかったり、増資をすることで資金調達ができる状況にあります。

つまり、手元にいかに運転資金となる現金や資産があるかが、非常に大切だということが分かります。

ちなみに赤字状態で前述のような状態だと、いずれは倒産する道を歩む可能性が高いのも事実です。そこで、資金はもちろん収入を支出よりも増やすことは大切です。

黒字でも安心は禁物!資金繰りで決まる黒字倒産の恐怖を避けよう

黒字倒産で考えられる4つの原因とは?

続いては黒字倒産についてもっと深く知る為に、考えられる4つの原因についてご紹介します。

1.収益が悪化した結果

1つ目の原因は、収益の悪化です。見込んでいたものより売り上げが少なかった、本業とは別にある営業外収益が減少してしまった、などということがあげられます。

入ってくるお金が少なくなるということは、資金も減るため、黒字倒産に近づきます。

2.経費が増えすぎた結果

2つ目は、経費が増えすぎてしまったことです。これは販売費や一般管理費といった費用が増加したことが影響します。それだけではなく、商品の仕入れ原価が高騰した、輸送費が高騰したということも関係してきます。

黒字倒産しないためには、経費が増えすぎていないのかという点も見逃せないポイントです。

3.現金を増やす項目の減少

3つ目は、手元の現金を増やすための項目が減少することです。直接的ではありませんが、決算時に純利益額が減少していないか、当座比率がどうかをチェックしてください。また、資本金の減少も現金が増えづらくなる原因です。さらに、借入金が減少すると、いざ借りようというときに借りることが出来ないという事態に陥ります。

直接的ではない部分ですが、黒字倒産を避けるために意識しておきたいポイントです。

4.現金が減る項目の増加

4つ目は、上記とは反対に現金が減少してしまう項目が増えることで起こります。

例えば、在庫が増えることで当座比率が変わること、設備投資が増えることで減価償却費が増えること、売掛金の回収期間の長期化や増加による、当座比率の変化などがあげられます。

黒字でも安心は禁物!資金繰りで決まる黒字倒産の恐怖を避けよう

黒字倒産を避けるために知っておきたいポイント

今度は黒字倒産が我が身になってしまわぬよう、知っておきたいポイントと題してお届けします。

資金繰りが大事だとされる2つの観点

経営には資金繰りが大事というのは周知の事実ですが、その根拠を2つの観点からご紹介します。

1つ目は、運転資本がないと事業が進まないということです。自社の商品やサービスを売るには宣伝費はもちろん、それにまつわる様々な経費が必要となります。それらの運転資本なしに収益を上げることは不可能です。

2つ目は、必要経費の問題です。売上が思うようにアップしなくても必ず発生する経費がありますね。雇用している従業員の給与、水道光熱費、家賃などは毎月発生します。そこで、それを支払うための資金は確保しておく必要があるのです。

つまり事業をするため、そして必要経費を遅滞なく支払うために資金繰りは欠かせません。

資金繰り悪化が起こす間接的影響

資金繰りが悪化してしまうことにより起こりうる、間接的な影響についても知っておきましょう。

1つ目は、資金繰りが厳しく不渡りなどを出してしまった場合に、銀行からの取引停止を言い渡されたり、顧客も離れていってしまうことです。

2つ目は、資金繰りが苦しいことで、従業員の給料の支払いに遅延などの影響が出た場合です。当然不安になる従業員は多く、会社を離れていくことが考えられます。会社を辞めなくとも、社員のモチベーションが下がることは必須です。

3つ目は、支払いが遅延することで信用を失うケースです。支払日に支払いが出来ないことが繰り返されると、会社の資金繰りが悪いということを察して取引停止を余儀なくされます。

4つ目は、お金がないことでビジネスチャンスを逃してしまうことです。よい話が舞い込んできても、資金繰りが悪いと勝負どころで使うお金がないという結果になりがちです。

危険予知に自身で出来る帳簿チェック

資金繰りが厳しいなとなんとなく分かっていても、まあ大丈夫かなと感じてしまうケースも多く見られます。そこで、自身で帳簿をチェックすることで危険予知ができるポイントをご紹介します。

まず、財務諸表である損益計算書の注意点から見ていきましょう。ここではまず収支に注目することです。利益と損失を見るのはもちろんですが、それらとキャッシュフローが必ずしも一致しているとは限りません。そこが黒字倒産の罠でもあるため、双方を照らし合わせてみることが必要です。

次に貸借対照表ですが、自己資本比率に注目してください。資金調達の元手は、株式会社であれば株主からの出資金に加え、銀行などからの借入金となります。ただし借入が多すぎると返済できなくなり、結果として倒産になりがちです。そのため、純資産÷(純資産+負債)という計算式に当てはめ、自己資本比率を求めましょう。比率が高いと倒産リスクは減少し、低いとリスクが高い状況だと分かります。20%以下になっていると、要注意です。

黒字倒産は何故起こるのか、その原因はどこにあるのか、ご理解いただけましたか?うちは大丈夫と安易に考えず、会計ソフトなどの帳簿を常日頃からチェックすることにも努めましょう。