簡易課税と原則課税、どちらがオトク?違いと仕組みを解説します

消費税は、今後も引き上げられることが予想されます。事業主の方からすれば、できるだけ納税額を少額におさえたいものですよね。そこで注目していただきたいのが、簡易課税と原則課税、どちらを選択するのかということなのです。

今回は、簡易課税と原則課税について詳しくお話しするとともに、注意点についてもご紹介していきますので、参考にしてみて下さいね。

原則課税のメリットについて知ろう

まずは、双方のメリットを知り、選択基準にしていきましょう。ただ、メリットがあるということは、デメリットもあるということになります。どちらを選択するべきなのか、どういった違いがあるのかについてもみていきたいと思います。

原則課税のしくみ

まず、原則課税は基本の制度であるということを覚えておきましょう。消費税には、売り上げに対して、「お客様から受け取った消費税」と「経費などで支払った消費税」という、計算を用いるのが基本となります。この基本計算が原則課税です。

計算例

基本の原則課税で計算すると、消費税の額はこのように定まっていきます。

1.2000円(税込み2160円)の品物を仕入れる→その品物を3500円(税込み3780円)で売る
2.支払った消費税=160円・お客様から受け取った消費税=280円
3.280円-160円=120円

この計算例でいえば、120円の消費税を納めることになるのです。

メリットは何?

計算例から読み取れるように、原則課税はどれだけの消費税を支払うことになったとしても、受け取った消費税を超えれば、その分は納税する必要がありません

例えば、下記のような場合、必要経費の額がかなりかさむことになります。

・店舗を移転した
・事務所の増築をした
・設備を整え、リニューアルした

そして同時に、かなりの額の消費税を納めることになるでしょう。この場合、原則課税であれば、受け取った消費税を超えた分に関しては、必ず還付されるしくみになっているため、メリットが大きいといえます。

要チェック!還付申告をして、納めすぎた税金を取り戻す方法

 

簡易課税のメリットについて知ろう

では次に、簡易課税のしくみからお話していきたいと思います。

簡易課税のしくみ

まず、簡易課税制度の利用には、下記の条件を満たしている必要があります。

・簡易課税適用には、事前に届け出が必要
課税売上高5000万円以下(前々年の売上高)

条件の一つとして、売上高に上限額が設けられていますよね。これは、そもそも簡易課税制度というものは、中小企業の事業主のために作られたものだからなのです。

みなし仕入れ率によるメリット

簡易課税制度は、原則課税制度と異なり、受け取った消費税-支払った消費税という計算式は使用せず、下記の計算式を使用しています。

・課税売上高の金額×消費税-課税売上高の金額×消費税×みな仕入れ率

計算式にもあるみなし仕入れ率というのは、業種によって制定されているものになります。その率は、90%から40%とまでとなっており、率が高い90%となっている業種は卸売業になっています。もちろん、率にもよりますが、原則課税制度に比べると、消費税の納税額を少額におさえることができるでしょう。

記帳の手間がない

原則課税制度では、一つ一つの取引において、課税対象なのか判断し、帳簿への記帳義務なども生じます。しかし、簡易課税制度にはこれらの義務がないため、その分時間を有効活用できるというメリットもあるといえますね。

今さら聞けない!年末調整と確定申告の2つの違いと節税ポイント

 

注意しておきたい事

最後に、一つ注意して頂きたい点があります。それは、簡易課税制度には、おもわぬ落とし穴が存在するということです。

2年先までは変更できない

簡易課税制度にはたくさんのメリットがあるように感じますが、事業の売り上げや現在の状況をきちんと把握しておく必要があります。それは、簡易課税制度を選ぶと、それから2年間は原則課税制度に変更することはできなくなるからです。

店舗の移転などによる多額の経費が必要になり、消費税を多く収めることになることがないかどうか、現在は原則課税にて消費税を納めている事業主の方は、よく考えてから選択するようにして下さいね。