相続は、相続する側も、相続してもらう側も、その時がくる前に準備しておかなければならないことが沢山あります。その中でも、「相続税対策」については、きちんと行っておかなければ、相続する側の負担は大きいものとなってしまうでしょう。
そこで今回は、計算方法のコツについてご紹介していきたいと思います。相続する財産がどの程度であるかということさえ分かっていれば、相続税がいくらかかるのかを簡単に割り出すことが出来るのです。
相続税について知っておきたい3つのこと
それではまず、相続税について知っておきたい3つのことからお話していきましょう。
1.相続税には基礎控除がある
相続する財産には、基礎控除というものがあるため、相続税がかからない場合もあります。
基礎控除額とは…3000万円+600万円×法定相続人となる方の人数
基礎控除は、上記の計算式にて割り出すことができます。この基礎控除額より財産額が少ないと、相続税の負担はありません。
2.税率と控除額
相続税の額によって、税率と控除額は変化していきます。
・相続財産額
1000万円以下の場合…10%(税率)控除額0円
3000万円以下の場合…15%・50万円
5000万円以下の場合…20%・200万円
1億円以下の場合…30%・700万円
このように、財産額が増えれば増えるほど税率もアップしますが、控除額も増える仕組みとなっていることが分かりますね。
3.配偶者控除がある
配偶者には、法定相続分に対して控除される、配偶者控除というものがあります。
・配偶者の相続財産額が1億6千万円以内なら、税金はかからない
・1億6千万円以上でも、法定相続分までなら、税金はかからない
これは、被相続人がこれまで財産を作り、増やすためには、配偶者の支えや力があってこそのものである、という考えと、残された配偶者の老後の生活を保障するために作られたものなのです。
相続税の計算方法
それでは、「相続税について知っておきたい3つのこと」をふまえた上で、計算方法について解説していきましょう。
・相続人が配偶者と子供2人の場合
まず、相続するものが
・配偶者、長男、次男の3人
被相続人の正味の遺産額が
・1億4800万円
と仮定します。被相続人財産の例は下記をご覧ください。
財産例
預金や現金など…8450万円
土地、建物…2900万円
生命保険…3800万円
葬儀費用…-350万円
正味遺産額=1億4800万円
1億4800万円-基礎控除額4800万円(3000万円+600万円×3)
=課税遺産額1億円
遺産相続内訳
・妻…5000万円
・長男…2500万円
・次男…2500万円
計算方法
相続税をもとめるための計算式は、「相続額×税率-控除額」となります。これを妻、長男、次男の相続額に当てはめてみましょう。
1.妻の相続税
5000万円×税率20%-控除額200万円=800万円
2.長男、次男の相続税
2500万円×税率15%-控除額50万円=それぞれ325万円
いかがでしょうか。このように簡単に相続税額を割り出すことが出来るのです。
相続税対策を忘れずに
被相続人にとって、家族の遺産争いや、相続税を家族に負担させてしまうことは、本意ではないでしょう。そのためにできることは、たくさんあります。
貴方が相続人のために、これまで築いてきた財産をきっちりと相続してもらうためには、やはり遺言書の作成を考えておくと良いでしょう。遺言書があることで、家族は納得して遺産を相続することができますし、被相続人の気持ちを受け取ることができるのです。あなたの大切な家族のためにも、いつかは話し合っておく必要があるでしょう。