自宅の一部分を事務所として使用している個人事業主の方なら、家賃を経費にできるかどうかは節税に大きく関わってくる問題といえるでしょう。ただ、いくら自宅家賃を経費計上することが認められているからといって、やり過ぎは危険です。最悪の場合、税務署に目をつけられてしまうこともあるのです。
そこで今回は、自宅家賃はどこまで経費にできるのかをテーマに、なぜ白色申告者は注意すべきなのか、その理由についてもお話していきましょう。
自宅家賃が経費になるには条件がある
まず、自宅家賃が経費になる条件は、所得税法により定められています。もちろん、生活費や家事に関連する費用については、経費として認めらないということもきちんと明記してあります。
条件としては、きちんと按分した金額であることが大前提となっています。例えば、マンションを所有しており、その内の大部分を事務所として経費計上しようとすると、怪しまれてしまうということです。自宅としての利用面積があまりに少ないと、本当にこの部分だけで生活しているのか?と目をつけられても仕方ありませんよね。
按分とは…基準数量に比例し、割りふる。つまり、比例配分ということです。
経費として計上できる金額とは
では、自宅に関連する料金のうち、どのような料金が経費として計上できるのかご紹介します。
1.マンションの家賃のうち、事務所として使用しているスペースの面積
2.事業に使用している電気代(コンセントの使用数、使用時間などから按分)
3.ネット利用料(週の使用日数、使用時間から按分)
例として挙げると、これらの料金は経費として計上できることになります。具体的にどのような計算方法で割り出すのかについてもご説明しますね。
按分の具体例
1.家賃について
床面積が100㎡、家賃が15万円、事務所使用割合が30㎡の場合
「30㎡÷100㎡=0.3→15万円×0.3=4.5万円」
この場合による経費計上金額は、4.5万円であるということが分かりますね。
2.電気代について
コンセント総数が20個、事業使用数5個、1年間の電気代が12万円
「5個÷20個=0.25→12万円×0.25=3万円」
3.ネット利用料について
事業において週の使用日数が6日、1年間の料金が6万6千円
「6日÷7日(1週間の総日数)=約0.85→6万6千円×0.85=5万6100円」
いかがでしょうか。このように按分することで、どのくらいの金額が経費として計上できるのかが理解できますよね。きちんと按分し計上しておけば、総額で13万1100円が経費になるということです。
白色申告者と青色申告者の違いって?
では最後に、経費計上において、白色申告者と青色申告者には違いがあるということをお話しておきましょう。
白色申告者への条件は厳しめ
比べてみると一目瞭然なのですが、所得税法に明記されている内容には、このような違いがあります。
・青色申告者
事業に直接必要な費用であること
必要部分の金額がきちんと計算できること
・白色申告者
半分以上とはいわずとも、主な費用が事業のためのものであること
事業使用部分をあきらかに区分できていること
白色申告者の場合は、その費用の大部分が事業のためである必要がありますが、青色申告者では、直接必要な費用であればOKとなっていますね。また、事業使用部分と自宅使用部分が明確に区分できている必要がある白色申告者に比べ、青色申告者にはそのような条件が定められていません。
もちろん、白色申告者の自宅家賃経費が全く認められないわけではありません。ただ、按分は適正な割合になっているのか、自宅と事務所がなぜそのような割合となっているのか、きちんと説明できることが大切です。これから家賃などの経費計上を考えていらっしゃる方は、一度見直しをしてみると良いでしょう。