どんな勘定科目を使えばいいのか良く分からないものは、とりあえず雑費という意識を持っている方も多いかもしれません。
明確な線引きが難しく感じる雑費と消耗品費ですが、一定の定義を知り対税務署にデメリットがない帳簿付けを行いましょう。
何でも該当しそうな雑費とは?
一見、どんなものでも該当しそうに感じがちな雑費について、その特性を具体例を挙げてご紹介します。
雑費の定義は曖昧
皆さんが感じている通り、雑費の定義は確かにあいまいです。どれにも当てはまりそうにない一時的な費用がそれにあたります。
また、毎年発生するがぴったりの勘定科目がないもの、販売費や一般管理費などに該当するものがそれにあたります。
雑費という勘定科目を使用する際には、他の勘定科目にあてはまらないものかどうかは確認しておきましょう。
雑費の具体例を知ろう
では具体的に雑費を使用することが多い経費の具体例をご紹介しておきます。
・クリーニング代
・各種証明書の発行手数料
・振込手数料
・手形などの取り立て料
・お正月飾りなど
販売などに関してはあまり重要でないものが多いのも特徴です。
消耗品費の基礎知識
次に消耗品費の基礎知識としてその定義と具体例をご紹介します。
消耗品費の定義
消耗品費には以下の2つのいずれかに該当するものが当てられます。双方にあてはまる必要はありません。
・10万円未満の経費
・耐用年数が1年未満であるもの
10万円で耐用年数1年未満というと、小さな文房具のみではなくプリンターなどの機械類も該当するという点を知っておきましょう。
消耗品費の具体例を知ろう
では、該当する経費の具体例をご紹介していきます。
・文房具類
・伝票や名刺印刷代
・印鑑
・電球や来客用のお茶、コップ
・事務机、椅子、ロッカー
・掃除機
・パソコンなどのソフト類
10万円以下ということもあり、随分と幅が広いのが分かりますね。
消耗品費と消耗品は別物!
消耗品費と消耗品は費の有無だけではありますが、同じものではありません。
消耗品費は費用であるため経費です。もう一方の消耗品は資産に該当します。例えば、文房具などが安価であったため大量に購入することがあるかと思います。こういった場合、決算時に使用したものは消耗品費として経費で処理し、残りは消耗品として経費に振り替えるという方法もありますので知っておきましょう。
「消耗品費」と「消耗品」は別物。消耗品費=経費、消耗品=資産です。
雑費と消耗品費において知っておきたい事
雑費と消耗品費の特性とそれぞれの具体例について知ったところで、実務的な処理として注意しておきたいことをご紹介します。
雑費多用は要注意!
冒頭でもご紹介した通り、雑費は何でも該当する便利な勘定科目と考えがちです。ただし、あまりに雑費を多用することはおすすめできません。
本来雑費は、発生頻度が低く経費全体の5〜10%程度に収めるべき費用です。そのため、あまりに多いと不明な出費として捉えられたり、杜撰だと感じさせてしまうので注意が必要です。
雑費多用によるデメリット
では、雑費という勘定科目を多用することで引き起こされてしまうデメリットについて、掘り下げてご紹介します。
まず1つ目は、信頼を低下させてしまうことです。税務署や金融機関などが、雑費が多用されている決算書などを見た時に感じるのは、適当に会計処理をしているのではということです。そこから見えるのは、帳簿付けなどに限らず、お金の出し入れなどに関してもどんぶり勘定的に処理をする、いい加減な企業だと捉えられます。
それによって税務調査が厳しくなるなどの弊害も出てくるので注意が必要です。
2つ目は、自社で費用の増減の把握に支障をきたす点です。利益を上げるためには、売り上げの増大はもちろんですが、同時に経費の削減も必須となります。そこで、どのような費用が年間かかっているか、どこまで削ることが出来るのかを知りたいときに、内訳がはっきりしません。そのため、細かく領収証や請求書を調べ、データを拾いなおす必要が出てくるという手間が発生するのです。
消耗品費の価格はセットで考えよう
最後に知っておきたいのは、消耗品費を考える際の考え方です。1商品に関する価格のみではなく、セットで使用するものは取得価格をセットとして考えてください。
例えば、パソコンを購入した場合、本体だけでなくマウスやソフトウエアなどもセットとなります。それらをすべて加えた上で10万円を超えない場合は消耗品費、超える場合は固定資産など別の勘定科目としての処理が必要です。
雑費と消耗品費の考え方について詳しくご紹介しました。適当に処理すると思わぬデメリットをこうむるため、注意が必要です。