故意な滞納でなくとも資金繰りが厳しくなるなど、支払いが厳しくなると税金などの納付が後回しになりがちです。税金を納めないといけないという気持ちはあるものの、いつの間にか滞納をしてしまうと、最終的に財産差押えも免れなくなってしまいます。
税金の滞納をすると自身の身に起こること、また差し押さえなどになる前に取るべき手段について知っておきましょう。
税金滞納による督促の流れとは?
税金を滞納すると、取り立ての電話がかかってきたり、自宅にも取り立ての人が来てしまうのではと不安になるのものです。
税金はすべての納税者に平等に納期限が決められており、それを1日にでも遅延すると滞納となります。その為、滞納はれっきとした処分対象事項であり、国税徴収法などにより様々な処置が取られます。
ここでは税金を滞納するとどのような順序で催促が行われるのかをご紹介します。
1.督促状による督促
最初に自宅に届けられるのは「督促状」です。
「督促状」は、本来納めるべき納付期限を遅延した日から、20日以内に納税者の住所に届きます。この時点ですぐに電話や訪問が行われることはありません。いわゆる勧告なので、督促状が届いてもなお支払いがない場合に、電話などによる催促が行われることとなるのです。
また、督促状が発送された後10日が経過すると、次に財産の差押えをすべきであると法律上は定められています。ただし、この時点ですぐに差押えがなされることはありません。
2.催告書によるさらなる督促
督促状が届いてもそれでも支払いが完了されない状態が続くと、次に「催告書」が届きます。記載されている内容は、督促状と変わりません。支払うべき金額や納期限、延滞税などが記載されています。この催告書は、督促状が届けられてから1ヶ月前後で届きます。
督促状よりもさらに勧告の要素が強まり、催告書に記載の納期限までに支払わない場合は、強制執行手続きが行われる旨の通告が記載されています。
強制執行というのは、財産などの差押えを行い、それを支払っていない税金に換金するための手段を取りますよという意味です。
3.最終段階である差押予告書
催告書による第二段階の処置が取られた後も、すぐに差押えは行われません。差押えを行う手続きに入る準備があるという告知と、納税義務者に対する支払いの意思確認でもあるためです。
そしてその催告書も無視して支払いを行わない場合には、最終手段である「差押予告書」が届きます。こちらも内容自体は督促状と変わりはありません。
しかしこの差押予告書には、本書面に記載の納期限までに支払いを行わなければ、預金などの財産を差し押さえますと明記されています。手段をとる、手続きに入るという前段階ではなく、差押を行うという事実が告げられています。
こちらも催告書を無視した後、1ヶ月程度すると届き始めます。つまり、督促の流れは大きく分けて3段階で行われるのです。
税金滞納による督促と同時に行われる事
税金を滞納しているときに目に見えて分かることは、前述した督促状などの書面が届くということです。しかし、督促状を受け取った人が必ずしも税金を納めるとは限らないことから、しかるべき処置が水面下で進められています。
どのような処置が行われているのかを知っておきましょう。
1.身辺調査による個人調査
まず1つ目は、税金を滞納している人の個人的情報が調べられます。
国税徴収法という法律にも明記されているとおり、法律上の権限として調査が進められるため、水面下で行われます。
あなたのお勤め先やその取引先に関する情報はもちろんのこと、取引をしている金融機関や、籍があるお役所などにも調べが入ります。戸籍などから家族構成や引っ越し履歴などに至るまで、身元に至っても詳しく調べられます。
2.差押えの為の財産調査
2つ目は、財産の調査です。こちらの法律上の権限として、あなたの知らない所で無許可に行うことが出来ます。
給料をどのぐらい受け取っているか、車などを保有しているか、銀行口座などの取引内容、不動産などの所有の有無など、取り押さえを行う対象を調べるために行われます。
ただし、取り押さえは生活に支障をきたしたり、事業などに影響が大きいものは差押えができないとされています。そのため、調べられた財産調査で出てきたすべての財産が差押え対象にはなりません。
税金滞納時に知っておくべきこと
税金を滞納し、自宅に督促状などが届き始めると、もう手遅れだと諦めてしまう方もいます。滞納したくてしているわけでもないが、気持ちだけは重くなるものです。
しかし、税金を滞納しているのをただ放置するのではなく、取るべき手段を知っておくことは大切です。
納税についての相談による支払い意志の明示
まず、督促状が届いた後でも、届く前でも構いませんが、自ら動くことです。取り立てに怯えていても環境は変わりません。また、督促状などを送付している側からしても、支払い意志があるのかないのかも分からない状態が続くと、最終的に無言の支払い拒否だと判断せざるを得なくなるのです。その状態になってから相談へ行っても、遅すぎることもあります。
そこで、まずは納税が難しいということを役所などに出向き相談しましょう。電話などで行うことも可能ですが、支払い猶予などの相談をしていくには、出向いて行う必要があります。
そこで、納税の意志はあるが現状支払いが行えず、どのぐらいの金額であれば定期的に支払いができるのかなど、あなたの情報を伝えて相談してください。
分割納付という手段も有効
役所からすると、全額を即金で納付してもらうことは望んではいません。支払い意志があり、例え時間が掛かったとしても確実に支払うことを希望しています。
その為、条件などの縛りはありますが、分割納付という方法も可能です。
ただ、分割納付をすることで承認をもらった後に、また滞納するのでは意味がありません。そこで、支払い可能な額を提示する必要があります。事前に、毎月の必要経費と収入などを試算し、可能な額とその根拠を説明できる準備をしておきましょう。
時効は督促でリセットされる
時効が過ぎれば税金も支払わなくていい、という話を耳にしたことがある方もおられるかもしれません。
確かに税金に関しても時効はあります。しかしそれは、税務署などから税金の請求をされていないことが大前提です。つまり督促状が届くということは、税金の請求をされていることになります。
時効は督促が行われたり、差押えなどが行われると、時効期間がリセットされることを知っておいてください。
税金を滞納している方が不安に感じる督促の流れと財産個人調査について詳しくご紹介しました。放置してメリットはゼロと言えることから、まずは支払い意志を明示すること、そして支払うための計画を立てるようにしましょう。