掃除費用も経費にできる!?つい悩んでしまう帳簿付けのポイント

大きな会社でなくても、職場の掃除などに関する費用はこまごまと発生するものです。このぐらいいいかと感じる程度の額のものもあれば、なかには割と大きな額になる費用もあります。

今回は見逃しがちな掃除費用と経費との関係について、また帳簿付けのポイントも含めてご紹介します。

掃除に要する費用は経費になる?

まずは、掃除に要する清掃費、クリーニング費などが経費として計上可能なのかどうかという部分からご紹介します。

掃除に要する費用は多種多様

掃除に要する費用と一言にいってもその内容は実に様々です。具体的にどのようなものが掃除に要する費用にあげられるのかを見ていきましょう。

・店舗及び事務所内外の清掃を業者に依頼した場合
・カーペットや絨毯、玄関マットなどのクリーニング費用
・窓ガラスなどの清掃費
・害虫や害獣駆除に要する費用
・清掃に要する道具(ホウキ、ごみ袋など)の購入費用
・掃除道具のレンタル費用

おそらくこれらの費用の多くが、事業をしている方が実際支払っているものばかりだと思います。

掃除に要する費用を経費にする理由づけ

そして気になる上記の掃除にかかる費用はというと、経費計上が可能な支出となります。ただし、掃除に要する費用を経費にするために大事な理由づけがあることを忘れてはいけません。

特に個人事業主の方の場合、自宅を事務所代わりにしているケースも多いでしょう。そこでポイントとなるのが、業務に関連した出費なのか、個人的な出費なのかという点です。プライベートな費用は当然ながら経費には計上できません。そこで掃除に要する費用の場合、業務とプライベートスペースをきっちり分けておくことも大切です。

業務に関連する場所を清掃する費用であれば、経費に計上してもなんら問題はないのです。

掃除費用も経費にできる!?つい悩んでしまう帳簿付けのポイント

掃除に要する費用は帳簿にどうつける?

掃除に要する費用のうち、業務に関連するものであれば経費計上が出来るという事がわかったところで、次に気になるのが帳簿づけです。どのような勘定科目で計上すればいいのか、例を挙げながらご紹介します。

少額なものは雑費に

使用する勘定科目の選び方にもさまざまありますが、出費した額の大きさによって選ぶ方法も1つです。その中でも、比較的少ない額の出費である場合は「雑費」で処理することがほとんどです。そこで、金額が小さなものであれば、雑費として計上してしまっても問題はありません。

少額の出費というと、例えばごみ袋や掃除をするために使用する道具などを購入した場合があげられます。ただし「雑費」という勘定科目は少額であればどんなものでも含んでいいわけではありません。よく似た勘定科目として「消耗品費」がありますが、この違いをどうつけるかをお悩みの方も多いかもしれません。

「消耗品費」にあたる掃除費用と言うと、掃除機の購入費用がそれにあたります。10万円未満の金額であれば「消耗品費」で問題ありません。

つまり少額な掃除費用に関しては、「雑費」もしくは「消耗品費」で計上するのが適当です。また注意点として、「雑費」は便利な勘定科目ではありますが、この勘定科目を多用することは避けてください。「雑費」は本来最も少ない額であるはずの勘定科目なので、確定申告時に、帳簿付けがいい加減だと捉えられる危険性があるためです。

もう1点知っておきたいのが10万円を超える掃除用具などを購入した場合の扱いです。確定申告で白色申告をする方は減価償却の必要があります。また青色申告を選択している方は、30万円未満の備品であれば費用とすることが可能です。

大きな金額は衛生管理費に

次に少額では収まりきらない清掃に要する費用の勘定科目についてご説明します。この場合は「衛生管理費」という勘定科目を使用するのが適当でしょう。

例えば害虫駆除などに要した費用などは消耗品費では不適当ですし、雑費にするには金額が大きすぎます。そのため、別途「衛生管理費」を設けて仕訳を行うことをお勧めします。個人事業の場合はあまり大きな掃除に関する費用は発生しないものです。しかし、店舗などを持ち経営などをしている場合は上記のようなケースが想定されますので知っておきましょう。

家賃と共に払う場合は地代家賃のことも

清掃に要する費用であっても、中には家賃などと一緒に賃貸業者に支払う費用も出てきます。共益費や管理費といったものがそれにあたりますが、この場合は家賃部分と清掃に要する費用の2つに分ける必要はありません。

通常、家賃は地代家賃という勘定科目で仕訳を行いますのでそれに含めて経費計上しましょう。ただし1つ注意しておきたいのは、地代家賃の中に共益費など以外に水道光熱費が含まれているケースです。この場合は、水道光熱費に関しては金額を分けて水道光熱費で記帳してください。

掃除費用も経費にできる!?つい悩んでしまう帳簿付けのポイント

勘定科目を決めるもう1つのポイント

帳簿付けしていく上で、多くの方がどの勘定科目を使用すればいいのかにお悩みの事でしょう。会計ソフトなどを使用すると選択肢が提示されるので便利ですが、それでも不慣れな帳簿付けは手間なものです。

勘定科目を決める上で参考にしたいポイントについてご紹介します。

勘定科目決定の一般的ルール

まず勘定科目を決定する際の一般的なルールを意識した仕訳を行うようにしましょう。とはいえ、必ずしもこういった出費にはこの科目を使わないといけないという決まりは存在しません。それは経理自由の原則にも謳われている通りです。

明らかに間違いであるとされるような勘定科目を選択している場合は確かにNGです。また面倒くさいからということで、すべてを雑費にしてしまう処理も同様です。

真実に基づいた帳簿付けであり、かつ上記でご紹介したような金額の大小による一般的ルールに沿っていれば基本問題視されませんのでご安心ください。

最終的には社内ルールに一貫性を!

最後に、もう1つ大事なポイントをお伝えします。どの勘定科目にするかについて迷う度に、インターネットなどで調べて帳簿付けをしている方に多く見られるケースです。それは、ほぼ同じ出費であるにも関わらず、その時々で使用している勘定科目が異なってしまうことです。税務署がこれらの不一致を見つけてしまうと、経理に対してずさんだと捉えられてしまいます。

そこで勘定科目選択においては社内ルールに一貫性を持たせてください。これは帳簿付けする人が変わったところで守られなくてはいけません。そういった意味からも、会計ソフトなどを利用していると便利です。

ご説明してきたとおり、掃除に要する費用は経費にすることが可能ですので忘れずに帳簿付けしましょう。また帳簿つけの際の勘定科目に迷った際は、金額の大小を基準にした一般的ルールと社内ルールの一貫性に気を付けてください。