社会人になると、その業務や企画に対して「あなたの意見は?」と問われる機会も増えてきます。会社は個人で成り立つものではなく、その業務に関わる社員すべてが案を出し合いながら効率の良い作業を生み出していくものです。そのため、新入社員であっても、ディスカッションや会議において発言し、最適な道を見つけ出すことに関わることは必要なことといえるでしょう。
そこで今回は、新社会人がマスターしておきたい「ディスカッションの進め方」について解説していきたいと思います。
ディスカッションにおいての役割と目的
ディスカッションでは、通常これらの役割に分かれたうえで意見を出し合う場を作ります。
4つの役割とその役目
議長
進行役を務める者。何が論点となるのかを明確にする必要がある。
タイムキーパー
時間配分を管理し、まとめた内容の共有係。
発表者
論点に基づいた発言、質問を投げかけ目的を達成するため議論する者。
書記
ディスカッションの内容を書き出し、対立点・同意見をグループ化しまとめる。
一般的にタイムキーパーと書記は“必要ない”“地味”などと思われがちですが、それはきちんとその役割を認識せず、役目を果たしていない方が行っている場合に限ります。ただ内容をまとめ、時間管理をするのであればその役目を統合してしまうこともできるでしょう。
しかし、それはあくまでも本来の役割を果たしていない場合です。どの立場になっても、ディスカッションに積極的に参加し、貢献することは可能なのです。
目的とは
役割を見てもわかるように、最適で有効なアイディアを出し、最後に選りすぐりのアイディアからさらに検討を重ね、結果を出すことが目的です。ただ話し合う、自分の意見を発表するのではなく、決定している目的を果たすことが大切になってきます。
社の会議においては、報告を目的としたタイプのディスカッションや、反省点を分析する目的で行われる分析タイプのディスカッションなどがあります。これらのミーティングを幾度となく重ねることで、企画が作られていくということがわかりますね。
具体例を用いた進め方
それでは、簡単な具体例を用いて実際に進めてみましょう。
1.目的の設定
まずは目的、目標を決めることから始まります。ここでは、次の例に沿って始めて行きましょう。
例)新店舗の集客率を上げる方法
2.発表者によって案を出し合う
Aさん「ホームページ上でのキャンペーンや広告に力を入れるべきだと思います」
Bさん「私は実際に新店舗付近の住宅へのポスティングがもっとも有効だと思います」
など、たくさんのアイディアを出し合っていきます。
ここで、議長はそれらの具体的な方法や予算などについて突き詰めて質問をし、最適な方法を導き出すよう話し合いの方向を定めていきます。
タイムキーパー「現時点で有効な意見は3つに絞ることができました。10分が経過したのでこの3つに絞って議論を進めませんか?」
3.検討案から必要になることを話し合う
Aさん「ポスティングの場合、配布する住宅地の範囲によってはかなりの時間を要することになると思います。その場合、出張となると予算の都合的に難しいのでは」
Cさん「しかし、会員以外に新店舗のオープンを告知するためにはもっとも有効だと思います。範囲を限定し、できる限り予算を抑えれば問題ないでしょう。」
検討案の問題点や修正点を出し合っていきます。
書記「現在までの問題点としては、ポスティングでは予算と範囲、ネット広告では近隣住民へのアピール力が少ないということが分かっています。同意見をグループ化したところ、ポスティングに賛成する意見の方が上回っています。」
4.案の決定
問題点の解決、意見を定めることができれば案が決定します。もちろん、これはあくまでも一例で、一部を抜粋して予想したものとなっています。意見の食い違いや論点がずれてしまうことなど、その都度問題が生じる可能性は十分あり、それを正しい方向へと導くのが議長となります。
論点に沿ったディスカッションとなっているかどうか、ディスカッションを行う上ではいくつかの注意点も存在します。
ディスカッションで注意すべきこと
ディスカッションの目的は、自分の意見を発表し、その意見が正しいと、メンバーからの評価を勝ち取ることではありません。しかしそんな勘違いから生まれがちなのが、以下のような問題点です。
・とにかく相手の意見を否定する
・問題点ばかり追求し、利点を理解しようとしない
・自分の意見がもっとも正しいと聞く耳をもたない
・質問が理解されないと相手を馬鹿にする
人に自分の考えを理解してもらうことは、本来家族でも恋人でも困難なことです。なぜそう思うのか、丁寧にそう思ったプロセスから話し、「間違っているかもしれないけど、私はこう思った。あなたはどう思う?」と、相手の意見にも耳を傾けることを前提に話すのではないでしょうか。
ディスカッションでは勝ち負けのように感じ、相手を馬鹿にしてしまうことも少なくないのです。
しかし、相手に理解してもらえるだけの質問力、プレゼン力が自分にはなかったのだと考えなくてはなりません。なぜ伝わるような質問ができなかったのか、視点を変えてみることも必要になるでしょう。部下だから、上司だからに関係なく、この部分はディスカッションを行う上で注意しておかなければなりません。
ディスカッションの進め方まとめ
いかがでしたでしょうか。進め方の簡単な例と注意点などについて解説いたしました。ディスカッションで自分の意見やアイディアをプレゼンすることは、社内ではもちろん、社外でも役立つことになります。ぜひ役立ててみてください。