地震保険金は確定申告不要で、保険料は控除対象も可!

日本でも大きなものから小さなものに至るまで地震の被害が増えてきています。そんな中で、地震被害による地震保険金をもらった方がお持ちの疑問についてお答えします。

地震保険金は収入として確定申告をすべきなのでしょうか?保険と税金との関係、さらに保険料でお得に節税する方法についても知っておきましょう。

税金がかかる保険とかからない保険

損害等を受けた際に受け取る保険金には、税金がかかるものとかからないものがあります。まずはその違いと意味合いについてご紹介します。

税金がかかる保険

保険金を受け取ると税金がかかってくる保険は以下の通りです。

・死亡保険金、祝い金、生存給付金など(生命保険)
・年金保険(個人年金)
・満期保険金、解約払戻金など(貯蓄型保険)

上記にあげる保険金は高額になることがほとんどであり、課税対象となる受取額100万円以上を超えることから税金がかかります。ただし、受け取る額が支払った保険金の総額を下回っている場合は、基本的に課税対象とはなりません。

保険金請求の申請を行う際は、課税の有無と課税概算額を試算しておきたいものです。

税金がかからない保険

次に保険金を受け取っても、基本的に税金が課されない保険は以下のとおりです。

・入院、通院、手術給付金
・リビングニーズ特約保険金
・高度障害給付金
・特定疾病保険金
・介護年金、介護一時金など
・火災保険
・地震保険
・自動車、バイク保険
・就労不能保険

保険というものは、起こるかもしれない不測事態に備えて加入するものです。その中でも、損失や損害を受けた人を救済する意味合いが強い保険金に関しては、税金が課せられなくなっています。ただし上記でご紹介したすべての保険金に税金が必ずしも掛からないわけではないため、注意が必要です。

地震保険金は確定申告不要で、保険料は控除対象も可!

地震保険金と確定申告

では、地震保険金と確定申告について、個人と法人の2つのパターンをご紹介します。

個人が受け取る地震保険金は非課税

まず個人が受け取る地震保険金は、前述でも触れたとおり非課税です。つまり税金を払う必要がないので、確定申告の対象にもなりません。

このことは所得税法第9条1項16号に謳われています。以下に概要を簡単に説明しましょう。

「家財や建物といった資産が、火災や地震などの突発的な事故によって受けた損害に対して支払われる保険金は、所得税法上、非課税とする」

例えば、地震によって家屋の内壁が剥がれ落ち、修理が必要となり、施工業者に150万円を支払ったとします。そして、これに対する地震保険金が100万円支払われたとしましょう。その場合、経理上は以下の処理となります。

支払額150万円-地震保険金100万円=修繕費50万円

このことからも分かるように、個人が受け取る地震保険金は非課税であり、収入とならないことから確定申告は不要です。

法人が受け取る地震保険金は課税

地震保険金は非課税であるというのは、個人の場合のみです。法人が受け取る地震保険金に関しては取り扱いが異なり、原則として法人税における課税対象とされます。その一方で、受けた被害の損失額は、損金として処理されます。

以下に、もう少し簡単にご説明していきましょう。

・受け取った保険金→収入計上
・修繕した費用(修繕費)→経費計上

万が一、あまりに損失が大きくなってしまい赤字(不動産所得)が出てしまう場合は、他の所得との相殺処理(損益通算)をすることができます。それでも処理しきれない損失に関しては、3年間繰越することが可能です。ただし繰越は青色申告をしている方限定です。

地震保険金は確定申告不要で、保険料は控除対象も可!

地震保険における控除

今度は、地震保険をかけておくことで受けることが可能な控除について2つご紹介します。

地震保険は所得税・住民税控除対象

1つ目は、所得税及び住民税の控除対象となることです。

まず、地震保険料控除について簡単にご説明していきましょう。地震保険はご存知の通り火災保険に付帯された保険です。そして1年間で支払った地震保険の保険料に応じて一定額が、所得税及び住民税から差し引かれるのです。ただ全ての地震保険が対象になるのではなく、居住用の住宅に加えて家財への損害を目的とした保険に限られます。さらに控除を受けることが出来るのは、契約者本人もしくは契約者と生計を共にする親族までとなっています。

参考までに、どの程度控除されるかを以下にご紹介します。

所得税控除
・払込保険料が5万円以下の場合→払込保険料全額の全額が保険料控除対象
・払込保険料が5万円以上の場合→一律5万円

住民税控除
・払込保険料が5万円以下の場合→払込保険料全額のうち1/2額が保険料控除対象
・払込保険料が5万円以上の場合→一律25,000円

もし保険料を1年以上の長期契約で支払っている場合は、1年分に換算された控除を受けることが出来ますのでご安心ください。

ここで注意点は、控除を受ける場合もご自身で申告をしないとその利益を享受することができません。そこで、保険会社が発行する控除証明書をもって、確定申告をする必要が出てくるのです。所得税控除最高額5万、住民税控除最高額25,000円は非常に大きな額ですので、お忘れなく申告してください。

地震保険は雑損控除が可能

2つ目は、雑損控除を受けられることです。雑損控除とは、地震をはじめとした自然災害によって、資産に損害を受けた場合、一定額の所得控除が発生することを言います。ここでいう損害は地震がおき、建物が受けた被害だけでなく、盗難や横領を受けたケースも該当します。

雑損控除を受ける場合、損失額を明確にする必要があり、以下の式によって求められます。

差引損失額=損害金額+災害によって支払った金額-受け取った保険金等の額

上記の計算式によって純粋な被害を算出した後、雑損控除額を計算していきます。

1.(差引損失額-年間所得総金額)×10%
2. 差引損失額-5万円

上記それぞれで資産をし、導き出された額が大きい方が適用となります。

ご紹介してきた通り、地震保険金によって受け取った保険金は、個人の場合、収入として確定申告にあげる必要はありません。その一方で住民税や所得税において控除を受ける場合は、忘れずに確定申告に組み込むことが必要ですので覚えておいてください。