合同会社設立実務はわずか3日でデキる!準備と実務のフローを解説します

個人事業者として仕事をしているうちに、会社組織にしてしまおうという考えに至ることもあるでしょう。会社組織の中でも合同会社設立は比較的簡単で、実務自体はわずか3日で行うことが出来ます。

合同会社設立をよりスムーズに行うために、大切な準備と実務の流れをご紹介します。

合同会社設立の準備

合同会社設立実務がわずか3日とはいったい本当なのだろうか?と疑問に感じる方もおられることでしょう。もちろん知識がない状態では不可能です。合同会社の設立実務は登記申請書の提出が主であり、そこに至るまでの準備が必要となります。

そこで合同会社設立の準備として知っておきたい2つのステップをご紹介します。

個人事業廃止の届出

まず1ステップ目に行うべきなのが「個人事業廃止の届出」です。今までの個人事業を廃業することによって、会社として事業をスタートできます。ただし、個人事業者ではなく今回初めて会社を設立するという場合は、「個人事業廃止の届出」は不要です。

「個人事業廃止の届出」にあたり税務署に提出する書類は以下の通りです。

・個人事業の開廃業等届出書
・所得税の青色申告の取りやめ届出書(青色申告をしていた方のみ)
・事業廃止届出書(従業員もしくは専従者に給与を支払いしていた場合)

税務署に出向き、その場で記入できる程度のものばかりです。そこで、自ら税務署に出向き、個人事業を廃止したい旨を伝えれば、記入すべき書類を提示してくれます。

「個人事業廃止の届出」を提出した日が、個人事業の廃止日となりますので、合同会社の登記申請前には済ませておきましょう。

個人事業を廃止したとしても、同じ年の1月1日〜個人事業の廃止日までの期間の収支は忘れずに確定申告してください。

商号及び許認可の確認

2ステップ目は、設立する合同会社の商号(会社名)の調査です。

現在、会社法施行による類似商号に対する規制は緩和されています。登記上は、同じ市町村内に事業目的及び商号が同じ会社が設立されても問題なくなりました。ただし、いざ似通った名前で事業を始めた際に、先に類似の商号を使用している会社から、商号の使用差し止めや損害賠償請求をされないとも限りません。万が一のため、似通った会社名が存在していないかを確認しておきましょう。

商号の確認は、合同会社を設立する予定の登記所の専用端末を使用して調べる方法と、お手元のパソコンからインターネットで「オンライン登記情報検索サービス」を利用する方法があります。後者の場合は、事前に「申請者ID」と「パスワード」を取得する必要がありますが、無料で簡単に取得できるのでお勧めです。

参考:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00076.html

またもう1つ調べておきたいのが、事業を行うにあたっての許認可の必要性です。飲食店や美容院、人材派遣業など業種によっては許認可を取る必要があるものがあります。

そこで、事業内容がある程度決まった時点で、商工会議所などに事前に相談し、必要性の有無について確認しておきましょう。

許認可自体は、実際に合同会社を設立した後に行いますが、同時に準備を進めておいた方がスムーズです。また、許認可の条件を満たすように改行準備をする必要があるためです。

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合同会社設立の実務

続いては、合同会社設立の実務について順を追ってご紹介します。

基本事項の決定

まずは、合同会社の基本事項を決めていきます。基本事項とは、会社案内などに掲載しているような内容です。

・会社の商号(準備段階で類似調査をしたもの)
・会社の本店となる所在地
事業目的
決算時期
資本金の金額、社員の決定
代表社員(株式会社でいう代表取締役)及び業務執行社員(株式会社でいう取締役)の決定

上記の内、事業目的の記載方法に不備があると登記申請を行った際に、却下されることがあります。そこで事前に管轄の登記所に確認をしてもらいましょう。

初めての会社設立であまり多額の資本金を用意するケースも少ないものですが、分かれ目は1,000万円未満かどうかです。基本的には約半年の運転資金を目安として決めていきますが、1,000万円未満にしておくと、消費税の免税業者になることができます。ちなみに全く初めて会社を設立する場合は、2年目までは消費税の支払いは不要です。

定款及び印鑑の作成

合同会社の場合は、定款認証を公証役場でしてもらう必要はありませんが、定款は必要です。株式会社の場合の定款の定款認証には52,000円必要ですが、合同会社は定款認証が不要であるため52,000円は必要ありません。

定款には紙の定款と、電子定款の2種類あります。紙の定款にすると収入印紙を貼るため、4万円が別途必要となります。一方の電子定款は、印紙は不要です。

合同会社の定款を作成するにあたって、必ず記載すべき事項を以下にご紹介します。

・商号
・事業目的
・本店の所在地
・社員の氏名及び住所
・社員全員を有限責任とする旨
・社員の出資の目的とその価額もしくは評価の基準

またこの時点では、商号も決まっているため、会社名の印鑑の作成も進めましょう。登記申請に必要となります。

登記申請

定款が作成できたら、合同会社設立の出資金(資本金)を金融機関に払い込みます。

出資人が複数名いる場合は全員が各社員の名義で払い込みを行ってください。そして実際に支払ったという事を証明するために、払い込んだ後、記帳を行い、通帳のコピーを焼いておきましょう。「払込みがあった事の証明書」として必要であるため、以下のコピーが必要となります。

・通帳の表紙
・通帳の1ページ目(銀行名・支店名・口座番号・口座名義人が記載されているページ)
・入金した金額が印字されたページ

もし払込口座が、通帳を発行しない金融機関の場合は、画面プリントで代用できます。

払込口座に、残高があったとしても、出資金として新たに振り込みを行う必要があります。

合同会社設立の最終段階が「登記の申請」です。「登記の申請」は本店所在地を管轄する法務局に対して行います。

申請書類を提出した後、法務局で、不備がないかなど確認が行われます。通常、即日で終わりますが、10日程度かかることもあります。申請した後、法務局に電話をし、問題がないかを確認してください。補正(修正すべき過ち)がなければ、登記完了となります。

ちなみに合同会社の設立日は、登記申請日となります。

申請時に必要な種類は以下の通りです。

・合同会社設立登記申請書
・定款2部(法務局提出用、会社保存用)
・代表社員の印鑑証明書
・出資金の払込証明書
・印鑑届出書(実印登録したもの)

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合同会社設立の費用と日数

では、最後に合同会社設立にかかる費用と具体的な日数についてご紹介します。

合同会社設立の費用

まずは合同会社設立に対して必要とされる費用です。

・定款への印紙代 (電子定款)0円  (紙の定款)4万円
登録免許税   (電子定款)6万円 (紙の定款)6万円
※登録免許税は、原則資本金×0.7%で計算され、6万円は下限である

登録免許税は、法務局で登記申請を行う際に必要となります。

電子定款がご自身で作れない場合、代行業者に依頼しますが、その場合でも1万円前後で作ってもらえます。そのため、定款は電子定款にする方が、4万円浮くのでお得です。

合同会社設立に要する日数

最後に、合同会社設立にかかる日数をまとめてご紹介します。

・合同会社設立準備(個人事業廃止の届出と類似商号の調査) 1日
・合同会社設立実務(基本事項の決定、定款作成、出資金払込、登記申請)2日〜3日程度

前述したとおり、登記申請の後には法務局での書類確認こそありますが、ご自身が行う手続きはここで一旦終了です。万が一、登記申請書類に不備があった場合も補正を行うなり、必要書類を提出する程度です。

このように考えると、準備期間などを多めに見ても1週間から10日程度ですべて完了します。

ご紹介したとおり、合同会社設立は思ったほど、煩雑ではありません。事前の準備とリサーチをしっかり行っておけば、躓くことなく安価で行うことが可能です。

繰り返しますが大切なのは事前の準備や、関係省庁などへの相談及びネゴになりますので覚えておいてください。