確定申告と言えば、税金を納める手続きと言うイメージが強いものです。しかし払いすぎた税金の還付を受けられるという側面もあります。
今回は、税金の還付方法にスポットを当ててご紹介します。
確定申告における税金還付の基礎を知ろう
まずは、確定申告における税金還付の基礎と題して、税金還付金の性質や還付を受けることが可能となるケースについてお話します。
確定申告における税金還付金とは?
税金還付金とは、簡単に説明すると税金を納めた納税者に対して返還するべき税金のことを言います。例えば所得税など、既に納付している税金が対象となります。
所得税であれば、年間の所得金額から納めるべき税額が決定されますが、決定された額以上に納付している場合は、税金還付対象となり確定申告で申請を行うことで還付されるのです。還付申告によって還付された税金を、税金還付金と呼んでいます。
税金還付が受けられるケースは?
では、税金の還付が受けられるケースを以下にご紹介しますので、ご自身に該当するものがないか確認してください。
・火事、地震などの災害、盗難などで損害を受けた場合→雑損控除
・年間の医療費支払総額が、ご家族の医療費も含め10万円を超える場合→医療費控除
・健康保険もしくは年金の支払額全額→社会保険料控除
・個人事業主の方が積み立てている退職金全額→小規模企業共済等掛金控除
・生命保険に加入している場合→生命保険料控除
・地震保険に加入している場合→地震保険料控除
・寄付をしている場合(ふるさと納税含む)→寄附金控除
・配偶者と離別もしくは死別した場合→寡婦(寡夫)控除
・働きながら所定の学校に通学している場合→勤労学生控除
・ご本人もしくはご家族に既定の障害をお持ちの方がいる場合→障害者控除
・働いている配偶者の収入が少ないか無職の場合→配偶者(特別)控除
・扶養すべき親族がいる場合(配偶者を除く)→扶養控除
税金還付を受けるために押さえておきたいポイント
続いて税金の還付を受けようとする方が押さえておくべきポイントをご紹介します。
1.控除証明書は必ず収集しよう
税金の還付を受ける場合は、前述した控除対象に該当する場合となります。また、対象となっていることを証明する必要があることから、それに対応する控除証明書を集めておきましょう。
例えば医療費控除を受ける場合は、診察料や薬代などが記載されたレシートを集めておくと、金額が記載されているので証明書となり得ます。
生命保険をはじめとする各種保険料に関しては、年末が近づくと保険会社より証明書が送付されてくるため、確定申告まで忘れずに保管しましょう。最近では、オンライン上でログインすることで証明書をダウンロードする方法もあるので便利です。
2.税金還付は申請しないと受け取れない!
続いては、ついつい忘れがちになることなのですが、税金還付を受けるためには、還付申告を行う必要があるということです。
還付対象であるということが分かったからと言って、安心してはいけません。何もせずに放置すると、還付対象であったとしても、そのことを税務署などは知り得ない為、いつまでまっても還付金が手元に届くことはないのです。
確定申告書、源泉徴収票、還付申告における控除証明書が必要書類ですので、この3つを忘れずに準備してください。
もし記入方法などが分からない場合は、税務署に必要書類と印鑑、銀行の通帳(還付を受ける口座)を持って行くと、教えてもらえます。
3.還付申告の有効期限は?
今度は還付申告の有効期限についてお話しておきましょう。有効期限は確定申告の期間内だと勘違いしている方も多いのですが、実は異なります。
還付の対象となる期間の翌年の1月1日から起算して5年間です。つまり、還付申告が出来るということを後から知っても、5年間に該当すればさかのぼって申告できるわけです。
そこで、過去5年間で還付申告漏れがないかどうかは忘れずに行ってください。ただし、領収書などの証明書類がないと難しいので、合わせて所在を確認することをお勧めします。
還付申告後の還付金受取スケジュール
では、還付申告を行った後、手元に還付金を受け取れるまでにどのぐらいの日数がかかるのかをご紹介します。
一般的には、確定申告書を用いて還付申告を行った後、1月から1月半後となります。確定申告が2月中旬頃から約1か月後の3月中旬頃ですので、受領は4月中旬から5月初旬ごろとなります。
確定申告を行うのにe-Taxを利用した方は、電子申告であることもあり、還付までに要する期間が3週間程度と大幅に短くなります。そこで早くに還付金を手にしたいという方は、e-Taxによる電子申告をするのも1つの手だと言えます。e-Taxによる電子申告の利点として、還付金の処理状況をリアルタイムで調べることができる点も便利です。
確定申告前にも申請は可能!
もう1つ是非知っておいていただきたいのは、還付申告は何も確定申告期間だけに限られた手続きではないということです。
確定申告時には、多くの方が申告を行う為、処理に時間を要してしまいます。そこで、必要書類が揃った時点で税務署に出向き還付申告書を提出すれば、確定申告組よりも早く還付金を手にすることが出来ます。
また、還付申告がはじめてで相談しながら申告したいという方も、窓口が混みあう確定申告時を避けることで、落ち着いて相談に乗ってもらえるのでお得です。
今一度、ご自身が支払っている税金や保険料などの中に還付申告を行えるものがないか、確認してみて下さい。また同時に過去5年間に該当するケースがないかも確認しておくといいでしょう。
日頃から領収書や証明書類は捨てずに手元に置いておく癖をつけておいてください。