将来的な借入やカード作成に影響大!奨学金滞納における3ステップ

大学進学の学費を借りるといった奨学金制度を利用した経験がある方もおられるでしょう。奨学金の種類は様々ですが、なかには無利子や低い金利で利用できるものもあることから間口は広めです。その一方で返済の滞納が目立つのも現実です。

良心的な制度である奨学金制度も要は借金と同じ。奨学金の滞納は将来的な借入やダメージに大きく影響します。奨学金滞納をすることで起こる3ステップを絡めながらご紹介します。

奨学金滞納回数ごとに増えるリスク

まずは奨学金の滞納回数が増えていくにつれてどのような影響が出てくるのかを知っておきましょう。ちなみにポピュラーなJASSO(日本学生支援機構)の場合は原則毎月27日が支払い日です。

奨学金滞納1回目はまだ安心?

さて奨学金の返済が遅延した1回目に関しては延滞金などの発生はありません。しかしそこで安心してはいけません。

初回の遅延にしても約定違反であることには変わらないことから、催促の電話があります。そして口座からお金が引き落とされなかったというお知らせとして「奨学金返還の振替不能通知」が郵送されてきます。さらに「個人信用情報機関への登録について(通知)」が届きます。初回滞納では、個人信用情報機関への登録自体はなされません。しかし滞納が繰り返されることで登録が余儀なくされるという告知として郵送されるのです。

また滞納した1回目の金額は、翌月の支払い日に2ヶ月分がまとめて引き落とされます。よって、口座残高を間違いなく確認し確保しておく必要があります。

奨学金滞納2回目から延滞金発生

2回滞納してしまった場合は延滞金が発生します。延滞金の額はご利用の奨学金の種類にもよりますが、年利率5%がかかります。延滞金は次回の口座引き落としの際に3ヵ月分と合わせて引き落とされます。

実際に引き落とされる延滞金込みの奨学金額は、初回同様催促の電話の後に届く「奨学金返還の振替不能通知」に記載されています。初回滞納と異なる点はお金を借りている本人だけでなく、連帯保証人の手元に「奨学金の返還について」という文書が届きます。つまり支払いを滞納していることが連帯保証人にも知られるという事態になるのです。またお手元には初回同様に「個人信用情報機関への登録について(通知)」が届きますが、登録自体はまだ留保されています。

ただし、この段階まで来ると支払い義務のあるご自身だけの問題ではなくなってくるため、信用問題にもつながりかねません。

奨学金滞納3回目はブラックリスト入り?

滞納を3回してしまうと個人信用情報機関に登録されてしまいます。個人信用情報機関への登録というのはいわゆるブラックリスト入りということです。あなたの個人情報はもちろん滞納をしたという事実がきっちり記録されてしまうのです。

個人信用情報機関へ一旦登録されると、奨学金をきっちりと支払った後も5年間登録は抹消されません。そしてあなたが車を購入するためにローンを組む、またクレジットカードを作成するといった時に、ブラックリスト入りが邪魔をしてしまうのです。5年間というのは短いようで長い期間である為、社会人となり奨学金を支払いながらその間に結婚をするなどライフスタイルも変わるでしょう。そしていざマイホームを建てようとローンの申し込みをした際、ローンが組めず理由を紐解くと、奨学金の滞納が原因だったというケースも多く見受けられます。

3回滞納した後は、4ヵ月分の奨学金とそれにかかる延滞金が翌月の期日に支払う額となります。催促の電話と「奨学金返還の振替不能通知」は初回同様です。2回目からさらに変わるのが「奨学金の返還について」が連帯保証人だけでなく保証人にも届くという点です。もちろん「個人信用情報機関への登録について(通知)」も届きます。

将来的な借入やカード作成に影響大!奨学金滞納における3ステップ

奨学金滞納するとどんなことが起こる?

続いて奨学金を滞納した際にあなたの身に、また連帯保証人や保証人になってくれている方の身にどんなことが起こるのかをさらに詳しくご紹介していきます。

1.債権回収会社からの督促文書と電話

奨学金滞納回数ごとに増えるリスクのくだりでもご紹介しましたが、まず1つ目は債権回収会社からの電話や督促の文書が届きます。

基本的にJASSO(日本学生支援機構)からの電話や督促文書は届きません。債権管理回収業に関する特別措置法という法律に定められているように、法務大臣の許可により委託された債権回収会社が回収を行っています。そこで、万が一滞納などがあった場合の管理や連絡も債権回収会社が行うのです。

また登録している電話番号が不通だった場合などは勤務先に電話があることもあります。もちろん督促の電話も個人名で行われ、本人以外に内容を話すことはありません。しかし勤務先に個人名で何度も電話があると同僚や上司からも怪しまれかねません。

滞納の段階にもよりますが、滞納回数が増えるほど電話や文書は本人だけでなく、連帯保証人や保証人へと範囲が広がるので注意が必要です。

2.支払督促申立措置という法的措置

2つ目は法的措置です。これは文書や電話などを通じて督促を何度も行ったにもかかわらず、滞納が改善されない場合にとられます。

通常は毎月決まった額が振替されますが、そうではない厳しい処置がとられます。民事訴訟に基づいた法的措置が取られると、借入金の全額と延滞金の全額を一括でまとめて返還するよう請求がなされます。もちろん事前に支払督促予告がありますが、こうなってしまうとまだ返済期限でない金額まですべてを支払わなくてはいけなくなるので大きな痛手です。

この支払督促予告に応じず拒否をしていると、裁判所に支払督促申立措置がなされるのです。

3.強制執行という名の給与差し押さえ

支払督促申立措置にも応じない場合は仮執行宣言付支払督促の申立が裁判所から出され、最終段階である強制執行という形に繋がってしまいます。

強制執行とは言葉の通り、支払わないのであれば強制的に貸し付けている奨学金と延滞金を徴収するというものです。あなたのお勤め先に通知が送られ、毎月のお給料の一部が差し押さえられます。法的に給与の差し押さえは4分の1と定められているため、給与が全くもらえないというわけではありません。しかし勤務先にそのような通知が行くことは、あなたの信用を大きく崩し、最悪解雇という処置を取られる可能性も秘めています。

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奨学金滞納になる前に行うべき措置

滞納するつもりはなくとも、定職につけないなどの理由から滞納者は増えています。奨学金を滞納することで受ける社会的に大きなダメージを回避するために行うべき措置を2つご紹介します。

1. 減額返還制度で支払額減額

1つ目は、減額返還制度です。毎月の支払額がどうしても足りないという方のために、月の返済額を減額してくれる制度です。当然のことながら返済期間は長くなり、最長10年は減額が可能です。

ただし誰でもこの制度を利用できるわけではなく、年収300万円以下である、災害にあった、病気をしたという理由付けが必要となります。

2. 所得連動返還型無利子奨学金制度で返済期限猶予

2つ目は「所得連動返還型無利子奨学金制度」です。こちらも返済をしなくていいという制度ではありません。学校を卒業した後も一定の所得が得られない場合に限り、返済期間を猶予するというものです。つまり猶予が認められた期間内は、支払いが保留されます。

こちらも年収300万円以下失業にあった、災害や病気などの一定の条件を満たしていることが求められます。

うっかり口座の残高を確認しそびれたなどということは誰にでもあるものです。しかし奨学金もれっきとした借入金であることから、支払いが遅れると借金取りと同じような措置が法的になされてきます。

そこで必ず口座の残を確保しておくことはもちろん、万が一支払いが厳しいとなった場合は救済措置を検討するようにしましょう。放置しつづけることで将来への悪影響が大きくなる一方なので注意が必要です。