宗教法人設立には条件と設立準備が必須!課税・非課税の真実

儲かるという一般的なイメージが先行しがちな宗教法人の設立は、独特の条件と設立準備が必要です。設立時に知っておきたい課税と非課税の真実についても詳しくご紹介します。

宗教法人設立ポイント

まずは、宗教法人を設立する条件とポイントを確認していきましょう。

宗教法人設立が可能となる条件

当たり前のことですが、その団体が「宗教団体」であることが大前提になります。しかし、「宗教団体」というのはいったい何ぞやという部分からそもそも不明確です。そこで法に規定されている「宗教団体」の定義をご紹介します。

・宗教団体の教義を広く浸透させることを目的としていること
・宗教団体の活動として、儀式行事を執り行うこと
・宗教団体に属する信者を教育し、育成していくこと

上記が「宗教団体」の定義です。合わせて宗教活動を行うにあたって使用する土地や建物と言った礼拝施設を備えていることも条件です。ただし規模は問題にはなりませんので小さくても構いません。1つ注意点は、宗教団体以外の方に対して立ち入りが禁じられているなど閉鎖的な建物であってはならず、常に開放的であることも大切です。

宗教法人設立には実績も必須

さらに宗教法人設立には、公布活動をはじめとする活動実績があることも重要です。つまり、活動実績もなく思い付きで今から宗教法人を作ろうかというスタンスでは不可能です。

活動実績があると認められるには最低3年は必要です。これはまさに最低ラインであり、3年程度の実績では、設立を認めてもらえないケースもあります。

また実績は何年という長さも必要ですが、最も重要なのは宗教活動を開放的にかつ健全に行ってきているかどうかです。そして実績の確認は、パンフレットやホームページなどで提示するだけではなく、所轄庁(文化庁)に依頼し定期的に確認をしてもらう、積み重ねる実質的実績を取る必要があります。

宗教法人設立には条件と設立準備が必須!課税・非課税の真実

宗教法人設立手続きと必要書類

宗教法人を設立するための条件が分かったところで、次は実際の設立手続きとそこに準備するべき書類について確認してきましょう。

宗教法人設立手続き

宗教法人の設立手続きは大きく分けて3つに分かれます。1段階目は「事前協議」、2段階目は「所轄庁への設立申請」、3段階目は「登記申請」です。

「事前協議」は、設立しようとしている場所を所轄する県庁などの担当部署に相談を入れることから始まります。前述したとおり、宗教法人として設立する条件を満たしているのかどうかを証明する書類などを提示し、実績確認を3〜4カ月ごとに積み重ねていきます。

そこで宗教法人として設立可能だという判断が下ったところで、2段階目は「所轄庁への設立申請」へと進むようになります。1段階目の「事前協議」は予備審査的な意味合いをもつため、その段階で多く時間を要することから、「所轄庁への設立申請」に関しては数カ月程度で完了するのが通例です。

最終的に設立が承認されると規則認証書という認証が得られたことの証明書が提示され、3段階目「登記申請」に進むことが出来ます。規則認証書が交付された後、2週間以内に宗教法人としての設立登記を、公布された登記簿謄本とともに提出すると、手続きが完了します。

もっとも時間を割くのが、事前協議だということになります。

宗教法人設立には条件と設立準備が必須!課税・非課税の真実

宗教法人設立手続きにおける必要書類

では、具体的に宗教法人設立手続きにおける必要書類を見ていきましょう。

1段階目の「事前協議」に必要とされる書類
・設立申請したい宗教団体が定めた規則
・設立申請したい宗教団体の代表者や役員などを記載した名簿
・礼拝施設など、宗教施設が保有し使用している建物の配置図
・不動産の登記簿謄本(礼拝施設、境内、その他利用している建物)
・信者の名簿一覧(コピー)
・宗教活動を行っている事実を証明する記録(会報、写真など)
・今後の行事予定表
・役員会議などにおける議事録

これ以外にも提示を求められる可能性があるものもあります。

2段階目の「所轄庁への設立申請」に必要とされる書類
・規則認証申請書
・設立申請を行う宗教団体によって定められた規則
・宗教団体だと証明可能な書類
・公告の事実を証明できる書類
・申請人が宗教団体設立に際し、権限を有することの証明書
・役員名簿記載者の就任承諾書
・役員名簿記載者が、欠格事項に該当しない証明書
・事業に関する書類
・宗教法人設立決議書控え
・被包括法人設立に関する手続きを経たことの承認書

3段階目の「登記申請」に必要とされる書類
・宗教団体の規則謄本
・規則認証書の控え
・宗教団体の代表者資格を証明できる書類(責任役員及び代表役員)
・印鑑届(代表役員のもの)
・印鑑証明書(代表役員のもの)

登記申請を代理のものが行う場合、委任状及びその権限を持っていることが分かる書類を提示する必要があります。

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宗教法人設立におけるメリットと税金

次に宗教法人を設立することのメリットと税金の関係性についてご紹介します。

宗教法人設立におけるメリット

宗教活動をしている団体のすべてが法人化してはいません。信教の自由が日本国憲法で保障されているため、法人化をしなくても自由に活動を行うことができるからです。

しかし活動している団体の規模が大きくなってくると、運営していくにあたって法人化することのメリットも大きくなります。そこで、具体的な宗教法人設立のメリットを確認しておきましょう。

・財産を法人名義で所有可能
各種税金が免除される(登録免許税、不動産取得税、固定資産税など)
低い法人税率で済ませられる
・収益事業を行わない場合は、法人事業税などの税金が課されない
・礼拝施設など、登記上の差し押さえを禁じることが可能

宗教法人が非課税とされる税金

宗教法人化することのメリットの中でも触れましたが、宗教法人は通常の法人と違い税制上の優遇処置を受けることが出来ます。そこで、税金ごとに課税・非課税をご紹介していきます。

法人税
→宗教法人が行う宗教活動のための活動は非課税

源泉所得税
→宗教法人名義の銀行預金の利子は非課税

消費税
→基本的に少額(1千万円未満)の場合は非課税

印紙税
→非課税である為、印紙の貼り付け義務がありません

地方税
→宗教法人が行う宗教活動のための活動は非課税

このように多くの税金が非課税となっています。

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宗教法人でも課税となる場合

宗教法人であっても課税となる場合もあるので知っておきしょう。

・代表である役員もしくは職員に給料及び退職金を支払う場合(所得税の源泉徴収義務が発生)
税理士を雇用した場合の、報酬など(所得税の源泉徴収義務が発生)
・宗教法人の収入を、個人が使用した場合(源泉徴収課税)
・個人が負担すべき費用を、宗教法人が支払った場合(源泉徴収課税)

また、宗教上使用するろうそく、お線香などを販売したり、墓地などの管理費を徴収した場合などは宗教活動とは捉えられず、課税取引となります。

宗教法人の設立方法から、そこにまつわる税金処理について詳しくご紹介してきました。通常の法人経営と異なる部分が多いため、所轄庁などに相談しながらすすめることが大切です。