ベンチャーキャピタルを利用して資金調達をするという方法が脚光を浴びていますが、敷居が高くて難しいと思いがちです。今回はベンチャーキャピタルにて資金調達をお考えの方に、基本的知識から分かりやすく解説します。
ベンチャーキャピタルの基礎を知ろう
まず、ベンチャーキャピタルとはいったい何か?どういった仕組みで成り立っており、またどんな種類のものがあるのかをご紹介していきます。
ベンチャーキャピタルとは?
ベンチャーキャピタルは出資を行う金融機関です。金融機関と言っても銀行系だけに限定されず、証券会社系・政府系・事業会社系・独立系などがあります。
これらのベンチャーキャピタルを行っているところは、将来的に株式を公開できる見込みがある会社に対して投資を行うのが特徴です。いわば将来的な成長を見越した出資であり、その出資を元手に株式公開を支援し、その売却された差益によってキャピタルゲインを得ているのです。
ある意味、ハイリスクハイリターンを狙う特性を持っているので、まだ成長途上の会社でもその恩恵を受けることは十分可能です。
ベンチャーキャピタルの仕組みと種類
ベンチャーキャピタルは前述でも触れた通り、様々な種類があります。ここでは簡単にその仕組みを絡めた特徴をご紹介します。
どこが運営しているベンチャーキャピタルであるかという種類分けとは別に、出資金の出所がどこであるかという点からの区分けもあります。
一般的に出資金が金融機関からの借入による場合と、出資者を募り、それを元手にしている場合があります。前者の場合は自らが借り入れた自己資金、後者はファンド(投資事業組合)を元にしており、出所が異なります。
さらに、後者はさらに次の3つに細分化されます。それは法的根拠によるものであり、1.「任意組合(民法)」、2.「投資事業有限責任組合(投資事業有限責任組合法)」、3.「匿名組合(商法)」に分かれます。
また、運営しているキャピタルによっても特徴は異なり、事業会社系の場合は親会社による事業との関連事業を選択しやすく、独立系ベンチャーキャピタルは積極的な投資スタイルを持っているという点も知っておきましょう。
ハンズ・オン型とハンズ・オフ型の違い
次に知っておきたいのは、投資を受ける側にとって非常に重要なハンズ・オン型とハンズ・オフ型の違いについてです。
前者は投資を受ける側に対して、オブザーバーや役員を派遣するなど、経営に積極的に参加してくるタイプを指します。後者は、出資はするものの経営にまでは関わってこないタイプです。
また前者を選択した場合、株主平等原則と呼ばれる法律上の平等を守る必要があります。経営に関わっている人が便宜を他の株主よりも図られると、他の株主からのクレームを誘発する可能性があるためです。そこで、契約時に便宜を要求される場合、契約修正を打診していく必要があります。
ベンチャーキャピタルからの資金調達に大事なこと
続いては、ベンチャーキャピタルからの資金調達を検討する際に知っておくべきポイントや、初心者が行き詰りやすい事業計画書に盛り込むべき内容についてご紹介します。
ベンチャーキャピタルの投資目的を押さえる
ベンチャーキャピタルに選ばれるためには、投資をしてくれる側の目的を知っておくことが大切です。
その目的は大きく分けて2つの売却益が根底にあるとされています。1つ目は出資をした後、他の会社に自社を売却することで発生します。2つ目は、株式会社へと上場することで得られるものです。
そのため、原則として株式上場を目指している企業が出資を受けやすくなります。まだ小規模のうちに出資を行い、成長ととともに株式が上がっていくことを狙う手法がとられるのです。
ベンチャーキャピタルに選ばれるために自らできる事
では、出資をしてくれるベンチャーキャピタルに選ばれるために、自らが出来ることを知っておきましょう。
1つ目は「自らベンチャーキャピタルに問い合わせをする」ことです。ホームページや電話などで問い合わせをするという単純なことですが、スタート地点となります。2つ目は、SNSなどを駆使し、知り合いの中からベンチャーキャピタルをしている方との繋がりを作りましょう。3つ目は、プレゼンテーション大会に参加して売り込む方法です。ピッチコンテストという大会が各地で開催されているため、そこで自社やサービスのプレゼンを行うことは有効です。4つ目は、異文化交流会などのイベントに参加し、人脈を増やしていくことです。
ベンチャーキャピタルに目を付けてもらうためには、ただ待っているだけでなく、自ら動き出し人脈を広げ、アピールすることが先決です。
事業計画書に盛り込むべき内容
ベンチャーキャピタルに選ばれるための審査に必ず必要となるのが、事業計画書です。そこにはどんな内容を盛り込むべきかをご紹介します。
1.「自社の使命や立ち上げた想い」
この部分でどれだけ出資者の方の心を動かすことが出来るかがポイントです。
2.「会社の基本情報や組織図」
単純に資本金や業種などを記載するのではなく、どんな有能なスキルを持った人材がいるのかなど、魅力を感じさせるものを盛り込みましょう。
3.「社会的ニーズを訴える」
3つ目は、あなたの会社の業種などに絡めた業界の動向の分析をデータ化して記載します。ここで社会的ニーズを訴えましょう。
4.「自社が持っている資源を紹介する」
お金、物、情報、人財に至るまで今後の飛躍の糧となるものを掘り下げてください。
5.「ビジネスモデル」
5つ目は、ビジネスモデルです。どのようなサービスを提供し、商品などを販売するのかというモデルを背景も交えて視覚化しましょう。
6.「数値と計画を交えて紹介する」
現在の立ち位置から今後の立ち位置や目指す部分については、具体的な数値と計画を交えて紹介してください。
7.「事業の収支データ」
7つ目は、経営には欠かせない事業の収支データです。
8.「問題点と対策」
8つ目は、抱えている問題点や対策などを記載していきます。
これらがしっかり盛り込まれていることで、将来的な展望を判断する有効な事業計画書となります。
ベンチャーキャピタル利用のメリットとデメリット
今度はベンチャーキャピタルを利用することで得られるメリットとデメリットについてみていきましょう。
ベンチャーキャピタルのメリット
まずはメリットを3つご紹介します。
1つ目
資金調達が以降もスムーズに行えるようになることです。ベンチャーキャピタルから出資を受けていた企業だという評価がつくことが有用です。それにより確かな信頼へと繋がっていきます。
2つ目
事業提携先の紹介を受ける可能性がアップすることです。ベンチャーキャピタルは1つの企業のみならず多くの企業に出資をするので、その中から提携することでより事業が面白くなるというアイデアも持ち合わせています。そのため、新たな事業展開を受ける提携を紹介してもらえることがあります。
3つ目
経営支援を受けることができる点です。ベンチャーキャピタル側も出資した会社が大きくなることが利益につながることから、経営ノウハウや知識などを提供してくれます。それにより、経営コンサルタントがついているのと同じ効果を得ることも可能です。
ベンチャーキャピタルのデメリット
次に知っておきたいデメリットを3つ見ていきましょう。
1つ目は、ベンチャーキャピタルの意向に沿う必要が出てくることです。こうしたいという経営プランがあっても、出資してもらっている以上、出資者の意向が優先となりがちです。
2つ目は、結果が出ないと資金を早期回収されることです。将来性がない、これ以上無理だと判断するのは出資が仕事のベンチャーキャピタルは早い段階です。その後、資金回収により会社の経営自体が傾く可能性もあります。
3つ目は、間接的な費用が発生する点です。上場するには一定の費用が必要です。それは上場後も同じことが言えます。そこで、体力がない状態で勇み足に上場すると、費用の支払いに追われることになりかねません。
ベンチャーキャピタルは上手に取り入れれば、経営もうまく立ち回り、資金も融通してもらえるおすすめの資金調達法です。デメリットもしっかり踏まえた上で、チャンスを得るべく自ら動いてみましょう。