事業拡大とともに、事務所の移転を考える方も少なくないでしょう。また、自宅の一部を事務所として使用している方が引越しすることもあるかと思います。こういった場合、通常の引越し手続きの他に、さまざまな手続きが必要となってくるということはご存知でしょうか。
そこで今回は、個人事業主の引越しをテーマに「手続き内容・注意点・経費になるもの」の3つについて詳しくご紹介していきます。
税関係の手続き一覧
まずは、税関係の手続きからみていきましょう。引越しの際は下記の書類を税務署・都道府県税事務所へ提出することになります。
・納税地異動に関する届出書
引越しするということは、納税地が変わるということです。現在納めている税務署だけでなく、引越し先にても提出する必要があります。期限については明記されていませんが、すみやかに行いましょう。
・開廃業等届出書(個人事業)
事務所移転の際は、こちらの届出書が必要になります。こちらは事務所移転から一ヶ月までの提出が必要となっています。
・事業開始、廃止申告書(個人事業税)
この書類は税務署ではなく都道府県税事務所への提出となります。住所変更した旨を伝えることが目的です。期限は五日以内です。
注意点
各種手続きには、期限が設けられているものがほとんどです。忘れることのないよう注意しておきましょう。
転居前・転居後の手続き
では、自宅一部を事務所利用している場合、自宅の転居前後に申請する手続きも合わせて必要となりますので確認しておいてください。
転居前
転居前は、現在住んでいる場所での手続きを行っていきましょう。
1.転居届
→転出証明書を取得する
2.現在お住まいの住所が記載されている住民票
→不動産契約時に必要
3.郵便局での転居届提出
→郵便物を新住所へ届けるために必要
4.光熱費やネット回線の住所変更
→ネット、または電話での手続きが可能
転居後
転居後は、新しい住まいの市長区村にて手続きを行います。
1.転入届
→二週間以内に新住所の市、区役所へ提出する
※同時に国民健康保険手続き、新しい住民票の取得も行う
2.運転免許証
→新住所地の警察署などで変更する
(このとき新住所の住民票が必要となります)
3.銀行関係の住所変更
→運転免許証の住所を変更後、手続きする
手続き関係はこれで完了となりますが、個人事業主の方にとって気になるのは、引越し費用が経費になるのかならないのかということでしょう。それでは、費用の中で経費になるものについてご紹介していきたいと思います。
引越し費用で経費になるものとは?
1.礼金
敷金は経費として計上することはできませんが、礼金は地代家賃として計上することが可能です。ただし金額に制限があり、「20万円以内」に限ります。20万円を超える礼金を支払った場合は、地代家賃ではなく資産となり、賃貸期間もしくは減価償却(5年)することになります。
2.仲介手数料、引越し業者依頼料
この2つについては、雑費として計上することができます。雑費として計上すると後日確認する際に分かりづらいという方も多いでしょう。その場合は新たに勘定科目を作成し、手数料として計上しておくとよいですね。
3.保険料
火災保険料は損害保険料として計上します。
注意点
礼金や保険料だけでなく、家賃や事業に使用した電気代なども経費として計上できます。しかし、必ず按分したうえで計上するようにしてください。自宅の何%を事業用として使用しているかによって金額は異なります。全額は経費にできないということは覚えておきましょう。
いかがでしたでしょうか。引越しはこういった手続きに時間がかかるため、引越し前後にはしっかりとどんな書類を提出しなければならないのか、把握しておくことが大切です。くれぐれも期限を超過することのないよう気を付けて下さいね。