今さら聞けない!?手形取引の流れと仕訳実務の基本

現金や振込なら誰でもわかることですが、手形取引となると難しそうだなと感じる方が多いものです。しかし、事業を行う上で、手形取引は日常的に行われています。

そこで今回は、手形取引の基本的な流れと仕訳の実務をご紹介します。

難しく感じがちな手形の基本

まずは手形の基本やルールについて、また小切手との違いについてもご紹介します。

手形の基礎知識と小切手との違い

手形と小切手はまったくもって別物ですが共通点もあります。それはいずれも、額面額を支払うことを約束した証書であるという点です。つまり有価証券です。

小切手との大きな違いは、手形は指定された日に支払いがなされることです。つまり、その支払い日が訪れるまではお金に変えることが出来ません。

しかしその手形を裏書きすることで権利を転移させ、他の支払いに当てたり、銀行で割引された額面割れの換金をすることもできます。

手形取引は誰にでもできるものではなく、銀行の審査を通過したものだけにその資格が与えられます。そして普通預金ではなく当座預金を開設します。

知っておくべき手形のルール

続いては手形ならではのルールについてご紹介します。

1つ目、手形は一定の期日に、一定の場所で、記載されている金額の支払いが約束された有価証券であるということです。

2つ目は、銀行から交付される統一手形用紙を使用することです。

3つ目は、手形の決済は銀行間で決済され、企業間では行われません。

4つ目は、記名押印することで第三者に譲渡ができることです。

5つ目は、銀行などに買取を依頼することができる点です。前述したとおり手数料や利息などは差し引かれます。

6つ目は、手形の額面額が当座預金に準備できない場合は支払いが出来ないため、不渡りとなります。これを半年に2回行うと、銀行の取引が停止となり倒産となります。

今さら聞けない!?手形取引の流れと仕訳実務の基本

手形の様式やその種類を知ろう

では、手形の様式やその種類について見ていきましょう。

手形の様式は?

手形は銀行が交付した統一手形用紙が使用され、金額と支払期日が必ず記載されています。当然のことながら、金額などが訂正されたものは無効となります。また手形を受け取る人と手形を振り出した日付、振出人が記載されます。

また印紙税法上、額面額にあった収入印紙が貼られ割り印がなされます。

約束手形と為替手形とは?

続いて手形で良く聞く、約束手形と為替手形について見ていきましょう。

約束手形は今回ご紹介している一定の期日に一定額が支払われるという約定が交わされた手形です。主に国内取引で使用されます。

為替手形の場合は、国際取引で使用される手形です。約束手形と違い、2人ではなく3人の人物が登場します。手形を振り出す人、手形を引き受ける人、額面額を受け取る指図人が存在します。

電子手形とは?

もう1つは電子手形です。手形が偽造されたり、紛失・盗難などに遭うというデメリットを無くしてくれます。また印紙を貼る必要もないので、印紙税の節約にもなります。

ただし、通常の手形同様に誰でも取引が出来るわけではありません。取引を行う銀行と契約書を交わす必要があります。また利用者情報登録も行います。

今さら聞けない!?手形取引の流れと仕訳実務の基本

手形取引における流れと仕訳

実際に手形取引が行われる場合の流れと仕訳処理についてご紹介します。

手形取引の流れを知ろう

では、手形が現金に変わるまでの流れをお話していきましょう。

まずは手形を支払期日の3日営業日前までに銀行に呈示する必要があります。この期日を逃すと現金化できませんので注意してください。

手形が提示されると銀行は手形の取り立てを行います。同じ銀行が発行したものであれば、銀行内で処理が行われます。しかし銀行が異なる場合は、手形交換所へ持ち込んだ後交換されます。交換された手形が銀行に持ち込まれると、手形に記載の金額が受取口座に振り込まれます。

手形が現金化されるまでは、3営業日はかかることから、そこを見越した手形決済を行うことが必要です。

約束手形取引における仕訳

では、約束手形取引をした場合の仕訳処理についてご紹介します。

売り上げをあげ、手形を受けとった場合は以下のように仕訳します。

(借方)受取手形 95,000円 (貸方)売上 95,000円

次に、商品などを購入し約束手形支払った場合です。

(借方)仕入 70,000円 (貸方)支払手形 70,000円

為替手形取引における仕訳

次に、為替手形取引における仕訳を見ていきましょう。

売掛金95,000円を回収するために、為替手形を受け取った場合の仕訳です。

(借方)受取手形 95,000円 (貸方)売掛金 95,000円

次に為替手形をひきうけた、つまり支払手形での支払いを了承した場合の仕訳です。

(借方)買掛金 95,000円 (貸方)支払手形 95,000円

このような仕訳処理は、会計ソフトなどで入力すると非常に便利ですので是非利用したいものです。

手形取引を行う場合に是非知っておきたい知識と流れ、そして仕訳方法についてご紹介してきました。基礎的な考えが理解できれば、後は簡単ですので参考にしてください。